著作権重要判例要旨[トップに戻る]







タイル壁画の「変形」を認定した事例
「日野市壁画事件」
昭和620918日東京地方裁判所八王子支部(昭和56()1881 

【コメント】本件で問題となった「日野市壁画」とは、原告が、日野市のイメージや歴史を表現するために、赤系統の色を基調とする煉瓦タイルを使用し、さらに、時間的なものを陰影として表現するために、数種の特殊な大型タイルを独自に考案、製造し、当該大型タイルと地を構成する定型のタイル上に同市の旧地名を焼き込み、これらを庁舎の壁面に組み合わせて張り付けて完成させたものでした。 

 右認定の事実に検証の結果を総合すれば、日野市壁画は、原告の日野市についてイメージを、数種の大きさ、形状の煉瓦タイルの組合わせ及びタイルに焼き込んだ地名の配列等により創作的に表現しており、美術の範囲に属するものとして著作物性を有するということができ、従って、原告は日野市壁画の著作権者であることが明らかである。
 なお、…によれば、タイルに文字を焼き込む手法は日野市壁画製作以前から存在しており、また大型タイル、四ツ目形タイルも昭和30年頃から製作販売されていることが認められるけれども、壁画の評価としては個々の手法なり素材の分析よりも、全体的観察を重視すべく、右観点から日野市壁画を見れば、独創性を備えた一個の美術作品というべきであり、右事実をもつて著作物性を否定する事情とはなり得ない
 
(略)
 
右対比によると、本件壁画は、日野市壁画の複製物とまでは認められないけれども、しかし、全体的に両壁画を比較対照して観察すれば、右相違点よりも類似性の方が強く印象付けられることは否定しがたく、観る者をして、その表現形式上同一の創作発想に基づき、原著作物(日野市壁画)を土台としてこれを変形した作品(本件壁画)と認めしむるに十分であり、右両作品の客観的な比較に加え、後記に認定の事情を総合考慮すれば、本件壁画は日野市壁画の変形物に該るものと断ぜざるを得ない。











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