著作権重要判例要旨[トップに戻る]







公立図書館の職員が図書の廃棄について不公正な取扱いをしたことが国家賠償法上違法と認定された事例
「船橋市図書館蔵書廃棄事件」平成170714日最高裁判所第一小法廷平成16()930 

【コメント】本件は、上告人らが、船橋市西図書館に司書として勤務していた職員が、上告人等及びその著書に対する否定的評価と反感から、その独断で、同図書館の蔵書のうち上告人らの執筆又は編集に係る書籍を、同図書館資料除籍基準に定められた「除籍対象資料」に該当しないにもかかわらず、コンピューターの蔵書リストから除籍する処理をして廃棄したこと(「本件廃棄」)によってその著作者としての人格的利益等を侵害されて精神的苦痛を受けた旨を主張し、被上告人に対し、国家賠償法11項等に基づき、慰謝料の支払を求めたケースです。

[参考:国家賠償法11項]

国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 


 公立図書館の上記のような役割,機能等に照らせば,公立図書館は,住民に対して思想,意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場ということができる。そして,公立図書館の図書館職員は,公立図書館が上記のような役割を果たせるように,独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく,公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負うものというべきであり,閲覧に供されている図書について,独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは,図書館職員としての基本的な職務上の義務に反するものといわなければならない。
 他方,公立図書館が,上記のとおり,住民に図書館資料を提供するための公的な場であるということは,そこで閲覧に供された図書の著作者にとって,その思想,意見等を公衆に伝達する公的な場でもあるということができる。したがって,公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは,当該著作者が著作物によってその思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして,著作者の思想の自由,表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると,公立図書館において,その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は,法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり,公立図書館の図書館職員である公務員が,図書の廃棄について,基本的な職務上の義務に反し,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは,当該図書の著作者の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。
 
前記事実関係によれば,本件廃棄は,公立図書館である船橋市西図書館の本件司書が,上告人A会やその賛同者等及びその著書に対する否定的評価と反感から行ったものというのであるから,上告人らは,本件廃棄により,上記人格的利益を違法に侵害されたものというべきである。











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