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差止請求・損害賠償請求等の準拠法
「モデル小説
『XO醤男と杏仁女』・詩の翻訳引用事件」平成160531日東京地方裁判所(平成14()26832 

【コメント】以下の判決文中「法例111項」は、現在は、「法の適用に関する通則法17条」に相当します。

[
参考:通則法17条(不法行為)]

不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。


 我が国及び中国は,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の同盟国であるところ,本件詩は,中国人であるAが著作者であり,中国において最初に発行された著作物であるから,中国を本国とし,中国の法令の定めるところにより保護されるとともに(ベルヌ条約2(1)3(1)5(3)(4)),我が国においても,我が国の著作権法による保護を受ける(著作権法63号,ベルヌ条約5(1))。そこで,本件各請求がいずれの国の法律を準拠法とするのかについて検討する。

◆著作権に基づく差止請求の準拠法
 まず,著作権に基づく差止請求は,著作権の排他的効力に基づく,著作権を保全するための救済方法というべきであるから,その法律関係の性質を著作権を保全するための救済方法と決定すべきである。著作権を保全するための救済方法の準拠法に関しては,ベルヌ条約5(2)により,保護が要求される国の法令の定めるところによると解するのが相当である。本件において保護が要求される国は,我が国であり,上記差止請求については,我が国の法律を準拠法とすべきである。

◆著作権侵害に基づく損害賠償請求の準拠法
 著作権侵害を理由とする損害賠償請求の法律関係の性質は,不法行為であり,その準拠法については,法例111項によるべきである。上記損害賠償請求について,法例111項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,被告小説の印刷及び頒布行為が行われたのが我が国であること並びに我が国における著作権の侵害による損害が問題とされていることに照らし,我が国と解すべきである。よって,同請求については,我が国の法律を準拠法とすべきである。

◆著作者の死後における人格的利益の保護のための差止請求及び謝罪広告請求の準拠法
 次に,著作者の死後における人格的利益の保護のための差止請求及び謝罪広告請求は,著作者の人格的利益すなわち著作者の権利を保全するための救済方法というべきであるから,その法律関係の性質を著作者の権利を保全するための救済方法と決定すべきである。著作者の権利を保全するための救済方法の準拠法に関しては,ベルヌ条約6条の2(3)により,保護が要求される国の法令の定めるところによると解するのが相当である。本件において保護が要求される国は,我が国であり,上記差止請求及び謝罪広告請求については,我が国の法律を準拠法とすべきである。なお,ベルヌ条約6条の2(2)により,上記請求権を行使すべき者も,保護が要求される国である我が国の法律によって定められる

◆著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求の準拠法
 著作者人格権侵害を理由とする損害賠償請求の法律関係の性質は,不法行為であり,その準拠法については,法例111項によるべきである。上記損害賠償請求について,法例111項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,被告小説の印刷及び頒布行為が行われたのが我が国であること並びに我が国における著作者人格権の侵害が問題とされていることに照らし,我が国と解すべきである。よって,同請求については,我が国の法律を準拠法とすべきである。

◆名誉棄損に基づく損害賠償請求の準拠法
 さらに,名誉毀損を理由とする損害賠償請求の法律関係の性質は,不法行為であり,その準拠法については,法例111項によるべきである。上記請求について,法例111項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,被告小説の印刷が行われたのが我が国であること,被告小説が日本語で書かれ,我が国において頒布されたことによる我が国における名誉の毀損が問題となっていることに照らし,我が国と解すべきである。よって,同請求については,我が国の法律を準拠法とすべきである。











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