著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ベルヌ条約抵触規則の類推適用
「北朝鮮映画無許諾放送事件@」
平成201224日知的財産高等裁判所(平成20()10012 

 控訴人輸出入社の差止請求は,同控訴人が北朝鮮の法人であり,また,北朝鮮の著作物についての著作権に基づく請求であるという点で,渉外的要素を含むものであるから,準拠法を決定する必要がある。
 我が国が加入しているベルヌ条約5(2)3文は,「したがつて,保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は,この条約の規定によるほか,専ら,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。」と規定しているところ,この規定は,著作権の「保護の範囲」及び「著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法」という単位法律関係について,「保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる」という準拠法を定める抵触規則であると解される。そして,著作権に基づく差止請求の問題は,「著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法」であると性質決定することができるから,ベルヌ条約によって保護される著作物の著作権に基づく差止請求は,同条約5(2)により,保護が要求される同盟国の法令,すなわち同国の著作権法が準拠法となる。もっとも,本件においては,北朝鮮の著作物が我が国との関係でベルヌ条約3(1)()によって保護される著作物に当たるか否かが争われており,このような場合にベルヌ条約5(2)の抵触規則を適用して準拠法を決定することができるのかどうかが問題となり得るところである。しかしながら,ベルヌ条約の加盟国数は,平成2010月現在,全世界163か国にも及んでおり,我が国とこれら多くの加盟国との間においては,著作権に基づく差止請求という法律関係については同条約5(2)の定める抵触規則が適用されること,この抵触規則は,世界の多くの加盟国において適用される国際私法の規則となっていること,及び著作権の属地的な性質からすれば,保護が要求される国の法令を準拠法とすることに合理性があること等に鑑みれば,ベルヌ条約で保護されない著作物についても,上記抵触規則を適用ないし類推適用して保護が要求される国の法令を準拠法と指定することが相当である。
 したがって,ベルヌ条約によって保護される著作物に当たるかどうかが争われている北朝鮮の著作物に係る著作権に基づく差止請求についても,ベルヌ条約5(2)の定める抵触規則が適用ないし類推適用されるから,控訴人輸出入社の差止請求については,我が国の著作権法が適用されると解すべきである。
 また,控訴人らが損害賠償請求において主張する被侵害利益は,北朝鮮の著作物に係る著作権ないしその利用許諾権(以上,主位的請求)あるいは北朝鮮の著作物という知的財産の利用により享受し得る要保護性のある法的利益(予備的請求)であるという点で,いずれも渉外的要素を含むものであるから準拠法を決定する必要がある。上記法律関係の性質は不法行為であるから,準拠法については,法例111(法適用通則法附則34項により,なお従前の例によるとして,法例の規定が適用される。)によって決すべきである。そして,同条項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,控訴人らに対する権利ないし法的利益の侵害という結果が生じたと主張されている我が国であるというべきであるから,本件における損害賠償請求(主位的・予備的とも)については,民法709条が適用される











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