著作権重要判例要旨[トップに戻る]







出版者の注意義務
「書籍『東京アウトサイダーズ』スナップ写真無断使用事件」平成190531日知的財産高等裁判所(平成19()10003等) 

【コメント】本件は、一審原告が、一審被告らに対し、一審被告Xが執筆し、一審被告株式会社角川グループパブリッシングが出版する本件各書籍について、一審原告が著作権を有する本件写真が無断使用されており、著作権(著作財産権及び著作者人格権)を侵害されているとして、一審被告らに対し不法行為に基づく損害賠償金等の支払等を求めた事案です。 

 当裁判所も,本件写真の本件書籍への掲載について一審被告らには過失があると判断する。その理由は,次のとおりである。
 一審被告ら及び角川グループ訴訟引受人は,一審被告Xは,Bから,本件写真を自由に使ってよいと言われており,同人に「この写真はあなたのものか。」と尋ねたところ,「そうである。」との答えを得たこと,一審被告Xは,Bに対して,本件写真の使用料についても尋ねたが,同人は不要であると答えたこと,Bは,長年にわたり,雑誌「東京ウイークエンダー」の編集長を務めた出版関係者であったことから,一審被告Xには過失はない旨主張し,一審被告Xの陳述書には,その旨の記載がある。これに対し,一審原告は,一審被告XがBから本件写真を入手したとの事実は否認している。
 しかし,仮に,一審被告ら及び角川グループ訴訟引受人が主張する上記事実が存したとしても,一審被告らは,本件写真の著作権者が誰であるかを確認し,その者から本件書籍への掲載について許諾を得る活動を全くしていないのであるから,過失があるというべきである。
 一審被告ら及び角川グループ訴訟引受人は,本件のような場合,あえて撮影者は誰であるかを詮索しないのが通常であると主張する。しかし,出版物に写真を使用する際に著作権処理をすることなくこれを使用することは考え難いところである。そして,撮影者が誰であるかが分からなければ,著作権者は判明せず,著作権処理をすることは困難であると考えられるから,本件のような場合に撮影者は誰であるかを詮索しないのが通常であるとは認められない。
 また,一審被告ら及び角川グループ訴訟引受人は,本件のような場合,撮影者を捜索して著作権処理をしなければ書籍等に掲載できないとすれば,自由かつ円滑な出版活動に大きな支障が生じ,自由闊達であるべき出版活動が萎縮してしまうことになるとも主張する。しかし,そもそも,出版物に写真を使用する際に著作権処理をすることは,出版物の著作者及び出版社にとって当然になすべき義務であるから,それをせずに大きな支障が生ずるとか,出版活動が萎縮してしまうなどとする主張が失当であることは明らかである。
 したがって,本件写真の本件書籍への掲載について一審被告らには過失があるというべきである。











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