著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ガイドブック掲載地図の著作物性
「多摩地方史跡巡りガイドブック出版事件」
平成130123日東京地方裁判所(平成11()13552 

【コメント】本件で、「原告著作物一」とは、原告(歴史研究サークルを主宰する歴史研究者)が、新選組に関する史実や歴史人物に関する記述に自己の感想を付して、多摩地方の史跡・資料館等(以下、これらを「史跡」と総称する。)巡りという点を通して従前のガイドブックには紹介されていなかった史跡も含めて紹介した書籍のことです。 

 [地図について]
 一般に、地図は、地形や土地の利用状況等を所定の記号等を用いて客観的に表現するものであって、個性的表現の余地が少なく、文学、音楽、造形美術上の著作に比して創作性を認め得る余地が少ないのが通例である。それでも、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法に関しては、地図作成者の個性、学識、経験、現地調査の程度等が重要な役割を果たし得るものであるから、なおそこに創作性が表われ得るものということができる。そして、地図の著作物性は、右記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して、判断すべきものである。
 
そこで、原告著作物一に掲げられた地図について検討すると、例えば対照表53頁記載の「竜源寺」の地図では、全体の構成は、現実の地形や建物の位置関係がそのようになっている以上、これ以外の形にはなり得ないと考えられるが、読者が最も関心があると思われる「近藤勇胸像」や「近藤勇と理心流の碑」等を、実物に近い形にしながら適宜省略し、デフォルメした形で記載した点には創作性が認められ、この点が同地図の本質的特徴をなしているから、著作物性を認めることができる。他方、たとえば同56頁記載の「関田家及び大長寺周辺」の地図などは、既存の地図を基に、史跡やバス停留所の名前を記入したという以外には、さしたる変容を加えていないので、特段の創作性は認められない











相談してみる

ホームに戻る