著作権重要判例要旨[トップに戻る]







カラオケ設置者(カラオケボックス経営者)の不法行為責任
「ビッグエコー事件」平成110713日東京高等裁判所(平成10()4264 

 控訴人らによる著作権侵害について
 
以上説示したところによれば、本件店舗のカラオケ歌唱用の各部屋においては、主として顧客自らが各部屋に設置されたカラオケ装置を操作し、通信カラオケ又はCDカラオケにより管理著作物である伴奏音楽の再生による演奏が行われ、管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽の複製物を含む映画著作物であるレーザーディスクカラオケの上映によって、管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽の複製物の上映が行われていることが明らかである。そして、前認定のとおり、本件店舗の経営者である控訴人らは各部屋にカラオケ装置を設置して顧客が容易にカラオケ装置を操作できるようにした上で顧客を各部屋に案内し、顧客から求められれば控訴人らの従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示しているのであり、顧客は控訴人らが用意した曲目の範囲内で選曲するほかないことに照らせば、控訴人らは、顧客の選曲に従って自ら直接カラオケ装置を操作する代わりに顧客に操作させているということができるから、各部屋においてカラオケ装置によって前記のとおり管理著作物の演奏ないしその複製物を含む映画著作物の上映を行っている主体は、控訴人らであるというべきである。
 
また、本件店舗のカラオケ歌唱用の各部屋においては、顧客が各部屋に設置されたカラオケ装置を操作し、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱することによって、管理著作物の演奏が行われていることが認められるところ、控訴人らは各部屋にカラオケ装置と共に楽曲索引を備え置いて顧客の選曲の便に供し、また、顧客の求めに応じて従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示するなどし、顧客は指定された部屋において定められた時間の範囲内で時間に応じた料金を支払い、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱し、歌唱する曲目は控訴人らが用意したカラオケソフトに収納されている範囲に限られることなどからすれば、顧客による歌唱は、本件店舗の経営者である控訴人らの管理の下で行われているというべきであり、また、カラオケボックス営業の性質上、控訴人らは、顧客に歌唱させることによって直接的に営業上の利益を得ていることは明らかである。
 
このように、顧客は控訴人らの管理の下で歌唱し、控訴人らは顧客に歌唱させることによって営業上の利益を得ていることからすれば、各部屋における顧客の歌唱による管理著作物の演奏についても、その主体は本件店舗の経営者である控訴人らであるというべきである。
 
そして、右で認定したように、伴奏音楽の再生及び顧客の歌唱により管理著作物を演奏し、その複製物を含む映画著作物を上映している主体である控訴人らにとって、本件店舗に来店する顧客は不特定多数の者であるから、右の演奏及び上映は、公衆に直接聞かせ、見せることを目的とするものということができる
 
(略)
 
以上によれば、控訴人らは、本件店舗においてカラオケ関連機器を使って、@管理著作物である伴奏音楽を公に再生することにより管理著作物の演奏権を侵害し、A映画の著作物において複製されている管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽を公に上映してその上映権を侵害し、B再生された伴奏音楽に合わせて管理著作物を顧客に公に歌唱させることにより管理著作物の演奏権を侵害しているものというべきである。
 
(略)
 
控訴人らは、被控訴人は、管理著作物の業務用カラオケソフトの製作をその製作者に許諾していることによって、控訴人らが右製作者との契約に基づいて、本件店舗において右カラオケソフトを再生し、これに合わせて顧客に歌唱させる行為についても許諾をしている旨主張する。
 
しかしながら、以下に説示するとおり、控訴人らの右主張は理由がない。
 
カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックスの店舗において公に再生すること、及び、これに合わせて公に顧客に歌唱させることとは、明らかに別個の行為というべきところ、…によれば、被控訴人と業務用カラオケソフト製作者との契約では、例えば、被控訴人が業務用カラオケソフト製作者である株式会社第一興商との間に締結した録音物製造における管理著作物に関する契約(昭和61120日締結)において、「本使用許諾は、録音物製作者に対してのみ有効であり」と記載され、使用許諾の内容は、「貴殿(株式会社第一興商)の使用許諾申請にたいし当協会(被控訴人)の管理著作物を録音使用することを許諾いたします。」と記載されていること、また、被控訴人と、いわゆる通信カラオケの送信を営む業者(通信カラオケ事業者)が会員となっている社団法人音楽電子事業協会との間で平成9926日に締結された「業務用通信カラオケによる管理著作物利用に関する合意書」においては、管理著作物を、カラオケ伴奏用にコンピューター等の記憶装置にデータベースの構成部分として複製し、かつ送受信装置を用いて、社交飲食店やホテル、旅館、カラオケボックス等の事業所に送信し、提供するシステムにより、複合的に利用することについて合意されたが、同合意書においては「受信先における演奏・歌唱は除く」ものであることが明記されていることが認められる。
 
これらの事実によれば、右各契約当事者となっていないカラオケボックスの営業主体における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱は、許諾の対象となっていないことが認められる。控訴人らは、カラオケソフト製作者から使用料を徴収した被控訴人が、更にカラオケスナック店等から使用料を徴収するのは、使用料の二重取りに当たり、許されない旨主張するが、右にみたように、カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックスの店舗において公に再生すること、及び、これに合わせて公に顧客に歌唱させることとは、別個の行為であるから、それぞれについて管理著作物についての使用料が支払われるべきものであり、これを違法、不当とすべき理由はないから、使用料の二重取りに当たるとする控訴人らの主張も、採用することができない。











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