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建築設計図の著作物性(3)
「個人住宅建築設計図事件」
平成141219日東京地方裁判所(平成14()2978 

 著作権法は,著作物の意義につき,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定め(同法211号),著作物の例示の一つとして,「地図又は学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物」(同法1016号)を挙げている。
 したがって,建築設計図面については,表現方法又は表現された学術的な思想に創作性が認められるものであれば著作物に該当するものというべきであるが,作図上の工夫や図面により表現されたがありふれたものであって,創作性が認められない場合には,当該図面をもって著作物ということはできない
 そこで,上記の観点から,原告作成の原告設計図書(基本設計図書,実施設計図書)の著作物性について検討する。
 (略)
 原告設計図書は,個人住宅の建築のための建築設計図面であるところ,このような建築設計図面は,建物の建築を施工する工務店等が設計者の意図したとおりに施工できるように建物の具体的な構造を通常の製図法によって表現したものであって,建築に関する基本的な知識を有する施工担当者であればだれでも理解できる共通のルールに従って表現されているのが通常であり,その表現方法そのものに独創性を見いだす余地はない。本件における原告設計図書も,そのような通常の設計図の域を出るものではなく,その表現方法において特段の独創性,創作性は認められない。
 また,原告設計図書に表現されている建物は,通常の個人住宅であるところ,このような個人住宅は,敷地の面積・形状や,道路・近隣建物等との位置関係,建ぺい率,容積率,高さ,日影等に関する法令上の各種の制約が存在するほか,間取りについても家族構成等に基づく施主の要望を採り入れる必要があることから,建物面積や建物構造等,間取り,各部屋の寸法等について,設計者による独自の工夫の入る余地はほとんどない。本件における原告設計図書も,そのような通常の設計図の域を出るものではなく,表現された建物の間取り,構造等において特段の独創性,創作性は認められない。
 
上記によれば,原告設計図書,すなわち基本設計図書及び実施設計図書は,いずれも,「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法211号)ということができず,著作権法1016号にいう図形の著作物に該当するということはできない。











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