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著作者人格権侵害と著作権侵害との関係(10)
小学校用国語教科書準拠国語テスト事件B」平成181206日知的財産高等裁判所(平成18()10045 

 著作者人格権侵害の有無について
 
[同一性保持権侵害の有無]
 
控訴人らは,同一性保持権を侵害する行為は,複製する行為に伴う(従属する)ものであり,改変する行為と改変したものを複製する行為からなるところ,複製行為(著作権侵害行為)自体は,年度ごとに(そして,当事者ごと,作品ごとに),別々の行為であるから,著作権侵害行為に従属する同一性保持権侵害行為も,当然に年度ごとに別々の行為と判断すべきであると主張する。
 
しかしながら,著作権法201項は,同一性保持権について,「著作者は,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けないものとする。」と定めていて,改変行為を同一性保持権を侵害する行為としているから,同一性保持権を侵害されたことによる慰謝料は,改変行為によって生じるものであって,年度ごとに毎年別個の損害が発生するというものではないというべきである。そうであれば,改変行為が同一であれば,同一の改変行為としてこれに基づく損害を算定するのが相当である。
 
控訴人らの上記主張は,採用することができない。
 
[氏名表示権侵害の有無]
 
控訴人らは,氏名表示権を侵害する行為は,複製する行為に伴う(従属する)ものであり,複製行為(著作権侵害行為)自体は,年度ごとに(そして,当事者ごと,作品ごとに),別々の行為であるから,著作権侵害行為に従属する氏名表示権侵害行為も,当然に年度ごとに別々の行為と判断すべきであると主張する。
 
しかしながら,著作権法191項は,氏名表示権について,「著作者は,その著作物の原作品に,又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し,その実名若しくは変名を著作者名として表示し,又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。…」と定めていて,著作者名を表示し又は表示しないで著作物を公衆に提供する行為を氏名表示権を侵害する行為としているから,氏名表示権を侵害されたことによる慰謝料は,著作者名を表示し又は表示しないで著作物を公衆に提供する行為によって生じるものであって,年度ごとに毎年別個の行為が行われ別個の損害が発生するというものではないというべきである。そうであれば,上記の提供行為が同一であれば,同一の提供行為としてこれに基づく損害を算定するのが相当である。
 
控訴人らの上記主張は,採用することができない。











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