著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権と条例との関係
「群馬県ゴルフ倶楽部環境影響評価書開示請求事件」平成100324日前橋地方裁判所(平成8(行ウ)8 

【コメント】本件は、原告が、被告に対し、群馬県公文書の開示等に関する条例(「本件条例」)に基づき、(仮称)日刊スポーツゴルフ倶楽部に係る環境影響評価書(「本件文書」)の開示(写しの交付)を請求したところ、被告が本件文書の閲覧のみを認め、写しの交付をしない処分をしたので、原告が当該処分は非開示の処分であり、違法であると主張して、その取消しを求めた抗告訴訟です。 

 本件条例が32項で「この条例において『公文書の開示』とは、公文書を閲覧に供し、又は公文書の写しを交付することをいう。」と定め、61項柱書で「実施機関は、次の各条のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の開示をしないことができる。」と定めていることなどからすると、本件条例においては、公文書の開示請求として、閲覧だけを請求し、又は、閲覧及び写しの交付を請求することができる外に、写しの交付だけを請求することもできるものと解される。被告が用意している書式である「公文書開示請求書」の「※開示の区分」の欄に「1 閲覧」と「2 写しの交付」の区分があり、欄外の「注1」で「※印の欄は、該当する番号を○で囲んでください。」と説明していることも右各請求ができることを前提としているものと認められる。
 
これを原告の本件開示請求についてみると、原告は本件文書の写しの交付による開示を請求したのであるから、実施機関である被告としては、その写しの交付による開示請求を認めるか否かの処分をすべきところ、本件処分において写しの交付を認めなかったのであるから、被告の本件処分は本件開示請求に対する関係で非開示の処分であったことになる。被告が本件処分において閲覧を認めたから、これを開示処分であるということはできない。
 
(略)
 
原告は、本件開示請求により、被告に対し、本件文書の写しの交付による開示を請求したものである。
 
ところで、本件文書が著作物(著作権法211号)であり、補助参加人が著作権者としてその複製権(同法21条)を有していることは当事者間に争いがないから、それを前提として判断することになる。
 
そうすると、本件文書が既に縦覧によって公表されたか否とを問わず、それを複写して写しを作成することは著作権法上の複製となるものといわざるを得ない。被告が平成719日付書面で補助参加人に対し本件文書の複写の許諾を求め、これに対し、補助参加人は、平成719日付書面で、著作権法に基づく権利によりこれを断る旨回答したが、右回答を含む補助参加人の著作権(複製権)の主張に権利の濫用があったことを認めることはできない。したがって、本件文書について著作権(複製権)や複製の権限を保有していない被告が、著作権者である補助参加人に無断でその複製(複写)をし、その写しを公文書開示の一環として原告に提供することは補助参加人の排他的権利である複製権を侵害し、同法に違反することになる。
 
そして、地方公共団体は法律の範囲内でしか条例を制定することができないのであり、本件条例611号の規定(管理人注:「開示をしないことができる」公文書として、1号は、「法令又は条例の規定により開示することができない情報」と規定している。)もこの趣旨を明らかにしたものと解されるから、著作権法で規定されている著作権の内容を条例によって制限することはできず、本件文書が著作物に該る以上、被告が本件条例に基づいて、補助参加人の意思に反して写しを交付することは許されないと解さざるを得ない。
 
よって、本件文書の写しの交付を求める本件開示請求については、本件文書は、「法令」(本件条例611号)たる著作権法により開示することができない情報を記録している公文書であるから、被告は、同条1項柱書によって写しの交付による開示をしないことができるものである。
 
なお、情報開示請求権が一般的に憲法21条、国際人権規約192項と関連性を有することは否定し得ないが、更に進んで、直接、憲法及び国際人権規約の保障を受ける権利となると解することはできないから、本件条例に基づく開示請求権をもって、著作権法上の著作権(複製権)に優越する権利であると解することはできない
 
また、原告は、被告が本件文書の閲覧を認めた以上、写しの交付を拒否する理由はないと主張するが、前記の説示から明らかなように、複製権(著作権法21条)と関連する写し交付の請求を閲覧の請求と同列に論じることはできないから、右主張は採用することができない。
 
以上によれば、本件文書の写しの交付を求めた請求に対し、本件文書には本件条例611号の開示適用除外情報が記録されているとしてその写しの交付を認めなかった本件処分に違法はないから、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく失当である。











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