著作権重要判例要旨[トップに戻る]







他人の著作権と抵触する商標の先願登録がある場合における著作権者からの出願の取扱い
「『
HARVEY BALL』商標出願拒絶事件平成170706日知的財産高等裁判所(平成17(行ケ)10250 

 原告は,本件図形の創作者,著作者はP1であり,創作・著作者を特定した本願商標の登録を特別に認めるべきであると主張する。
 
しかし,本件において,P1が創作したという本件図形について,原告がいかなる権利を有するかについては,明確な主張がないが,仮に原告が本件図形についての著作権を有するとしても,原告の上記主張は採用することができない。
 
すなわち,他人の著作権と抵触する商標の先願登録がある場合において,著作権者がこの商標の無効審判を得ることなく,自己の著作物を用いた商標を出願したときに,著作権者からの登録出願を認めるべきものとする規定は商標法上存在しない。これは,特許庁は,著作権に関する専門官庁ではなく,商標の出願審査において,著作権の所在につき逐一調査,認定等することは困難であることから,著作権との抵触については事後的な救済(同法第29条,第46条等)に委ねることとし,出願時においては著作権の所在につき審査しないとしたことによるものと解される。したがって,仮に原告が本件図形につき著作権を有するとしても,だからといって本願商標の登録を特別に認めるべき根拠はないというべきである。
 
また,原告は,引用商標はP1が創作した本件図形を剽窃したものであり,審決がこの点を考慮していないことは,先願主義の過剰な解釈の弊害の現れであると主張する。
 
しかし,仮に原告主張のように本件図形が剽窃されたものであったとしても,引用商標は,無効審判が確定するまでは,有効に存続しているものであり,本願商標との関係で,商標法4111号にいう「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」に当たることは明らかである。商標法4111号の規定による商標の類否の判断は,出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比においてのみ決定されるべきものであり,仮に当該他人の登録商標が無効とされるべき瑕疵を有していたとしても,そのことによって類否の判断を異にすべきものではないから,原告の上記主張は採用できない。











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