著作権重要判例要旨[トップに戻る]







「著作物」に要求される創作性の程度(3)
「伝統工芸品『つつみ人形』民事事件」平成200131日仙台地方裁判所(平成15()683 

【コメント】本件は、堤人形の制作家である原告A及び同人が設立した原告有限会社Bが、被告らの人形制作、販売等の行為によって、原告Aが有している著作権、商標権を侵害し、同時に誤認混同等の不正競争防止法違反行為をしたとして、著作権法、商標法及び不正競争防止法に基づいて製造、販売等の差し止め等を求めた事案です。 

 原告らは,別紙4「原告Aの著作権一覧表」において,昭和45年から平成19年までの間に,各堤人形について,それぞれ改良を加え,最新の著作権を取得したと主張する。
 
ところで,著作物とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいうところ(著作権法211号),ここに創作性は,人間の知的活動の成果として,著作者個人の工夫した表現について認められると解される。
 
したがって,既存の著作物に基づいてそのまま機械的に表現した物及び既存の著作物と同一性を保ちつつこれに多少の修正,増減等を加えた物は,著作権法上,既存の著作物を有形的に再製した複製物(同法2115号)に該当するから,これらの物に創作性を認めることはできない
 
堤人形は,江戸時代から仙台市堤町で制作されてきた伝統工芸品であり,その品名についても恵比寿大黒天神等の信仰土偶に由来するものと歌舞伎舞踊,神話,干支等に題材を求めた風俗人形に由来するものとがあり,先代Eや原告Aが制作した堤人形もこれらに工夫を加えながら改良されてきたものであるということができる。そうすると,堤人形は,原告らが独自に考案したものではなく,原告らの商品に著作権があるというためには,高度な創作性が必要となる。原告らが主張する「最新の著作権」の有無についての判断は,原告らが主張する創作あるいは新作の内容如何によるところ,原告らは個々の堤人形について上記の伝統工芸品や題材に対し,どのような創作的表現を施したのか別紙2「原告Aの著作権の取得について」,別紙3「著作権の侵害及び不正競争行為について」記載の限度で主張するのみで,個々の堤人形のどの部分に,どのような創作的表現を施したのか,具体的な主張をしていない。原告らの著作権の主張は,主張として不十分である。
 
仮に,原告らの主張が,個々の堤人形を制作する際において,伝統工芸品に対し,より精緻な形に整え,鮮やかな彩色をした行為を改良であると主張するものであるならば,かかる行為は,技術的に優れた表現行為と評価される余地はあるものの,改良は同一性の範囲を超えるものではないから,創作的な行為と評価される余地はなく,主張自体失当というべきである。











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