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公文書等歴史資料を復刻した書籍(解説部分を除く。)の編集著作物性
「『特高警察関係資料集成』等復刻書籍事件」
平成210227日東京地方裁判所(平成18()26458等) 

 上記認定の事実によれば,被告「特高警察関係資料集成」は,特定の官署部局が作成した文書などその範囲が一義的に定まる資料を単に時系列に従って並べて復刻したというものではなく,様々な官署部局が作成した文書を,なるべくこれまで知られていなかったり公刊されていなかった文書,なるべく個々の運動,事件に関する直接的な記述があるものという一定の視点から選択し,これを運動分野又は文書の種類別に配列したものであるから,全体として,素材たる原資料の「選択」及び「配列」に編者の個性の発露がみられる。したがって,被告「特高警察関係資料集成」は,編集著作物というべきである。
 
これに反する原告高麗書林の主張は,採用することができない。
 
韓国「特高警察関係資料集成」は,被告「特高警察関係資料集成」全体ではなく,その一部である10巻から24巻のみを複製したものであるが,その分量及び複写対象巻からみて,それらの部分のみの複製であっても,被告「特高警察関係資料集成」の編集著作物としての創作性を再現しているものと認められる。
 
(略)
 
したがって,被告「百五人事件資料集」は,戦前の刑事事件の裁判記録とこれに関することの明らかな3つの文献を復刻しただけの書籍であり,その素材の選択又は配列はありふれたものであって,創作性を認め難いから,編集著作物とはいえない
 
(略)
 したがって,被告「高等外事月報」は,月刊誌の各号を時系列に従って復刻しただけであるから,その素材の選択又は配列のいずれにも創作性を認め難く,編集著作物とはいえない
 
(略)
 
同書籍は,「朝鮮軍概要史」(著者不明)という1つの文書と,付録として,朝鮮軍残務整理部作成に係る「朝鮮における戦争準備」及び第一復員局作成に係る「本土作戦記録第5巻第十七方面軍」の2つの文書を所収するものである。
 
朝鮮軍概要史」に,「朝鮮における戦争準備」及び「本土作戦記録第5巻第十七方面軍」を組み合わせた点に創作性があるかが問題となるが,「極端に資料が少い」(同解説10頁)ことからすると,それらの組合せに素材の選択又は配列の創作性を認め難いから,編集著作物とはいえない
 
(略)
 
同書籍は,昭和118月から昭和158月にかけて朝鮮軍参謀部が陸軍次官あてに半年ごとに送付した機密報告書である「朝鮮思想運動概観」又は「朝鮮思想運動概況」を,その作成日順に所収するものである。
 
したがって,被告「朝鮮思想運動概況」は,半年ごとの報告書を時系列に従って復刻しただけであるから,その素材の選択又は配列のいずれにも創作性を認め難く,編集著作物とはいえない











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