著作権重要判例要旨[トップに戻る]







「版面権」侵害の成否
「『特高警察関係資料集成』等復刻書籍事件」
平成210227日東京地方裁判所(平成18()26458等) 

 一般不法行為(版面権侵害)について
 
他の出版社の版面をそのまま複写して出版物を製作する行為は,出版業に携わる者として道義にもとるものであることは明らかである。しかし,法はそのような場合でもこれを直ちに違法なものと評価しているわけではなく,著作権等の存在を前提に,かつ,一定範囲の類型に限って違法であると明示的に規定しているものであり(著作権法113条参照),著作権法で違法とされていない行為を一般不法行為により違法と判断することは,謙抑的にされるべきである。
 
この観点からすると,被告「百五人事件資料集」,被告「高等外事月報」,被告「思想彙報」,被告「朝鮮軍概要史」及び被告「朝鮮思想運動概況」については,一部の資料の入手に困難があったことは認められ,しかも,その無断複製物を被告書籍の顧客層がいる日本市場向けに製作するものであるが,他方,資料の修復等(オペーク作業等)に格段の困難を要した等の事情はうかがわれないから,その製作をもって,一般不法行為を構成するものと認めることはできない。
 
しかも,前記で判示したとおり,原告高麗書林が被告書籍の無断複製行為自体に関与したとは認められないところ,販売のみに関与する者につき「版面権」侵害を認めることは,更に謙抑的にされるべきであるから,販売に関与したことのみをもって,一般不法行為を構成するものと認めることはできない。
 
したがって,被告不二出版の版面権侵害の主張は,理由がない。











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