著作権重要判例要旨[トップに戻る]







カラオケ設置者(カラオケボックス経営者)の不法行為責任(2)
「ミスターマイクマン事件」平成121222日大阪高等裁判所(平成12()2042 

[参照:会社法429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任1]

役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 


 著作物の利用主体
 
引用にかかる原判決認定事実によれば、控訴人キュウザ、控訴人オアシスジャパン等のカラオケ歌唱室経営者は、使用料金たる対価を得て、不特定多数の客をカラオケ歌唱に誘引し、用意した歌唱室・カラオケ装置・カラオケソフトを利用させ、その許容した時間・空間内において、客に歌唱をさせる営業を行い、もって、客による音楽著作物の再生(演奏)、歌唱をその管理下に置き、これを手段として営業利益をあげているといえるところ、自ら実演しない者であっても、営業上の利益を目的とし演奏を管理する者は、音楽著作物の利用主体となるというべきであるから、カラオケ歌唱室経営者をもって音楽著作物の利用主体と認めるのが相当である。
 
客の利用主体性とカラオケ歌唱室経営者の利用主体性とは何ら矛盾することではないから、客の現実の利用・操作の態様如何は右結論を否定するものでなく、また、右対価は、歌唱室という部屋自体のほか、カラオケ装置等の設備、音楽著作物であるソフト等を含めた設置費用を基礎に設定されているということができ、利用時間に応じた料金設定をしていることも右結論を否定するものでなく、控訴人らの主張は当を得ていない。
 
公の利用
 
音楽著作物の利用主体であるカラオケ歌唱室経営者は、歌唱室に来店する不特定多数の客による音楽著作物の再生(演奏)、歌唱をさせる営業を行っているのであるから、当該客である公衆に直接音楽著作物を見せ又は聞かせることを目的としていることが明らかである。
 
歌唱室に来店して同室に滞在している間における客は、その限りで特定しているが、音楽著作物の利用主体であるカラオケ歌唱室経営者を基準にすれば、事物の性質上、これを不特定の者といって差し支えなく、著作権法22条所定の公衆に当たる
 
(略)
 
控訴人らは、控訴人【A】には任務懈怠について故意又は重過失がないと主張する。
 
(略)
 
右事実によれば、控訴人【A】は、控訴人キュウザの代表取締役として、また、控訴人オアシスジャパンの取締役として、本件各店舗の営業を管理支配し、業務を執行し、平成元年111日当時、営利目的でカラオケ歌唱により音楽著作物を適法に利用することについて被控訴人の許諾が要ることが一般的知識となっていた状況において、同日以降、被控訴人との著作物利用許諾契約手続を取ることなく本件各店舗での営業を行ったのであるから、本件著作権侵害につき(軽)過失があったということができ、したがって、控訴人キュウザ、同オアシスジャパンは著作権侵害の不法行為責任を負うに至ったということができる。そして、控訴人【A】は、その後、被控訴人から度重なる利用許諾契約締結の督促を受け、平成3214日以降、カラオケ歌唱室、カラオケボックスについて著作物利用許諾契約手続が必要であり、その旨被控訴人から具体的手続きを求められている状況を認識しながら、使用料の算定につき苦情を述べるなどして、右手続をせずそのまま放置してきたというべきであり、したがって、少なくとも、右平成3214日の時点で控訴人ら会社が著作権を侵害して損害賠償責任を負うことのないように措置する取締役の任務を悪意又は重大な過失により懈怠したということができる
 
カラオケ歌唱室を経営する会社が著作権を侵害して損害賠償責任を負うことのないように措置することは取締役の任務ということができ、控訴人らの主張は、会社に不法行為を行わせることが取締役の正常な業務の遂行であることを論理的前提とするものであり、相当でない。











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