著作権重要判例要旨[トップに戻る]







取材・執筆等を支援した者の著作者性
「取材旅行・書籍執筆支援事件」
平成160218日東京地方裁判所(平成14()27550 

 著作者とは「著作物を創作する者」をいう(著作権法212号)。
 創作する者とは,当該作品の形成に当たって,その者の思想,感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をすることをいう。当該作品の形成に当たって,必要な資料を収集,整理をしたり,助言,助力をしたり,アイデア,ヒントを提供したり,できあがった作品について,加除,訂正をしたりすることによって,何らかの関与をした場合でも,その者の思想,感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をしていない者は,創作した者ということはできない。そこで,上記の観点から判断する。
 … 原告は,確かに,被告に対して,家庭内暴力についての書籍の執筆を促したこと,家庭内暴力等に関する外国の制度を調査するための取材旅行を企画し,訪問先の設定,事前準備等を担当したこと,被告の執筆した原稿について,加除修正の提案をしたこと,出版社として被告会社を選定して,連絡調整をしたこと等の活動を行っているが,これらの諸活動をもって,原告の思想,感情を創作的に表現すると評価される行為ということはできないから,原告が本件書籍を創作した者に当たるとはいえない。
 この点,原告は,本件書籍は,原告の有していた基本的思想等に基づき原告が企画したものであるので,原告が創作したと解すべきである旨主張する。しかし,このような基本的思想を実現するための各活動は,被告が,本件書籍の執筆することについて,アイデアや素材を提供する行為であって,創作行為であると解すべきではない
 
原告は,被告の原稿に対し,加除修正に関する提案をしている。しかし,その多くは,被告の執筆した原稿のうち,不正確な知識あるいは誤解に基づく記述,不明瞭あるいは難解な記述に対しての指摘や訂正案の提示と解される。確かに,原告が行った加除修正に関する指摘の中には,単純な誤記の指摘や訂正案の提示にとどまらず,文章表現にまで踏み込んだものも存在するが,最終的には,被告において,原告から指摘を受けた点を再考して,本件書籍に採用するかどうかを判断していた。したがって,原告の加除修正に関する提案は,本件書籍の作成に当たって,原告自身の思想,感情を表現するという,主体的な関与ということはできない











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