著作権重要判例要旨[トップに戻る]







出版契約における初版発行部数を超える発行があったかどうかが争われた事例
「『世界初,大発見 地震予知確立』出版契約事件」平成200626日知的財産高等裁判所(平成20()10043 

【コメント】本件は、自己の著作物につき被告と出版契約を締結した控訴人(原審「原告」)が、被控訴人(原審「被告」)に対し、同出版契約に基づき、初版第112000部(平成1251日発行)を超えて発行された書籍について、支払調書控えの閲覧を請求するとともに、著作権使用料等を請求した前訴の口頭弁論終結時(平成171012)より後に発行された書籍の著作権使用料2000万円の支払を求めた事案です。
 
原判決は、平成1251日に発行された初版第11200部を超えて被告が同出版契約に基づいて書籍を発行したことを認めるに足りる証拠はないとして、原告の請求をいずれも棄却しました。

 
なお、本件においては、次のような事実関係がありました。

原告は、平成111117日、被告との間で、原告の著作物である「世界初,大発見地震予知確立」(「本著作物」)を書籍(本件書籍)として出版することにつき、以下の内容を含む出版契約(本件出版契約)を締結した。
 
「第9(著作権使用料) 被告は,原告に対して,次のとおり本著作物の著作権使用料を支払う。部数1部ごとに本体価格の8%に相当する金額。(3刷以上10)ただし,初版については2%とする。」
 
「第11(贈呈部数等) 被告は,初版第1刷の際に100部まで,増刷に際してはそのつど1部を原告に贈呈する。ただし,初版出版2か月前までに必要部数を決定するものとする。2 原告は,第9条の規定にかかわらず,納本・贈呈・批評・宣伝・業務などに使用する見本分として,初版に際し100部と前項の部数を加えた合計2000部について著作権使用料を免除する。」
 
「第12(発行部数の報告) 被告は,本著作物の発行部数を証するため,原告に対し製本のつどその部数を報告する。原告の申し出があった場合には,被告は,その証拠となる書類の閲覧に応ずる。」

被告は、本件出版契約に基づき、平成1251日、本件書籍の初版第11200部を本体価格1000円で発行した。

被告は、平成1298日、原告に対し、本件出版契約に基づき、本件書籍の初版第1刷として発行した12000部につき、著作権使用料として18000円を支払った:本件出版契約9条により、初版の著作権使用料の料率は本体価格の2%と定められ、同112項により、初版のうち200部について原告は著作権使用料を免除すると定められ、また、源泉徴収として10%が差し引かれたことから、本件書籍の初版第1刷として発行した12000部につき、著作権使用料は、18000円であった。1000円×0.02×(1200部− 200)×(10.1)18000 


 [平成1251日に発行された初版第11200部を超えた本件出版契約に基づく本件書籍発行の有無について]
 
原告は,被告が,平成1251日に発行された初版第11200部を超えて,本件出版契約に基づき,本件書籍を少なくとも66667部発行したと主張し,その陳述書において,被告が,初版第11200部を超えて本件書籍を発行した旨陳述する。
 
しかし,株式会社フクイン(以下「フクイン」という。)が被告あてに作成した製作証明書と題する書面には,いずれも,フクインが被告より受注した本件書籍を平成1247日に1200部製作した旨,同部数を超えて製作をしていないことを証明する旨が記載されており,また,被告が本件書籍の増刷をフクイン以外の業者に発注したことを窺わせる証拠はない。そうすると,被告が本件書籍を初版第11200部を超えて発行したとは考え難く,その他本件の全証拠を検討しても,被告が本件書籍を初版第11200部を超えて発行したことを認めるに足りる証拠はない。
 
したがって,被告が,平成1251日に発行した初版第11200部を超えて本件出版契約に基づき本件書籍を発行したことは,これを認めるに足りる証拠はなく,原告の前記主張は,採用することはできない
 
[本件出版契約に基づく支払調書控えの閲覧請求の可否について]
 
(略)
 
支払調書控えの存否
 
支払調書は,著作権使用料等(所得税法20411)につき支払をする者が,その支払の確定した日の属する年の翌年131日までに,税務署長に提出しなければならないとされている(同法22513)。したがって,著作権使用料等の支払義務が具体的に発生しなかった場合には,支払調書の提出義務はなく,支払調書及びその控えは作成されないものと認められる。
 
前記のとおり,被告が本件書籍を初版第11200部を超えて発行したことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,平成1251日に発行された初版第11200部を超えて発行された本件書籍の著作権使用料について支払調書及びその控えが作成されたとは認められない。
 
したがって,初版第11200部を超えて発行された本件書籍の著作権使用料についての平成12年度ないし平成19年度分の支払調書控えの閲覧請求は,理由がない。











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