著作権重要判例要旨[トップに戻る]







債権侵害に基づく損害賠償の請求を否認した事例
「錦絵『東京開化』事件」
平成160928日大阪地方裁判所(平成16()6772 

 …によれば、原告と講談社との間では、原告所蔵の「東京開化」について、別紙…記載の書籍に掲載する目的で、利用許諾契約が締結されたこと、利用許諾契約に適用される利用規定には、利用者の許諾目的外利用や再利用に関する規定(4項)や無断複写を禁ずる旨の表示をすべきこと及びその方法に関する規定(9項)などはあるが、利用者の利用結果を無断で複写等する者がいた場合にまで利用者に責任を負わせる旨の規定はないこと、被告は、原告及び講談社に無断で別紙…記載の書籍の8283頁を複写し、これを本件単行本の表紙として利用したこと、以上の事実が認められる。
 
債権の相対性からすれば、債務者以外の第三者の行為を債権侵害として不法行為責任を問うためには、侵害行為の違法性の程度や、加害者の故意・過失について特段の考慮を必要とするというべきであり、債権侵害による不法行為が問題となる態様としては、債権の帰属を侵害した場合、給付を侵害することによって債権が消滅した場合、給付を侵害したが債務者に損害賠償債務が残る結果債権が消滅していない場合、債務者の一般財産を減少させる場合などが考えられる
 
しかるに、前記記載の認定事実によれば、そもそも原告が講談社にもいかなる債権を有しているのか不明である。被告は講談社にも無断で複写行為を行ったのであるから、講談社としては、原告に対し、そのような無断複写行為について利用許諾契約上の債務不履行責任を負うことはない。仮に講談社が被告に対して複写行為を許諾していた等の事情が認められ、その結果原告が講談社に対して債権を有することがあり得たとしても、被告の無断複写行為によって、当該債権の帰属が侵害されたり、当該債権が消滅したり、講談社の一般財産が減少したりするということはできない
 
したがって、原告の講談社に対する債権を被告が侵害したと認めることはできず、原告の主張は失当である。











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