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マットレスの説明図の著作物性
「立体格子型マットレス販売契約事件」
平成220119日大阪地方裁判所(平成20()8486 

 原告説明図の著作物性について
 著作権法は,「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定めており(著作権法211号),思想又は感情の創作的な表現を保護の対象とするものであるから,思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体でないもの又は表現したものであっても表現上の創作性がないものについては,著作権法によって保護することはできず,これを「著作物」ということはできない。
 
この点,原告パシフィックウエーブは,原告説明図には,以下の@ないしCの点において創作性がある旨主張する。
 @ 3分割された立体格子型グミ状ジェルの格子形状を表現した。
 
A 3分割された立体格子型グミ状ジェルそれぞれに彩色を施している。
 
B 3分割された立体格子型グミ状ジェルを組合わせたものを立体的に表現している。
 
C @ないしBの特長を表現したマットレスの上に人が仰向けに横たわり,肩部,臀部,脚部に対し,3分割された立体格子型グミ状ジェルがどのように対応しているかが表現されている。
 
しかし,原告説明図は8段階の硬さの立体格子型グミ状ジェルの中から,使用者の肩部・臀部・脚部にそれぞれ最適なものを3枚決定し,これら3枚のジェルセグメントを組み合わせて1つのマットレスを構成するという技術的思想を基にその使用方法を図形で表現したものであるところ,上記@の格子形状の表現については,原告説明図は全く同じ形状の平行四辺形を単に縦横に並べて表現したものにすぎず,表現として極めてありふれたものである
 
上記Aの彩色についても,原告説明図は分割された3つの部分を黄色・青色・赤色でそれぞれ彩色したものにすぎず,極めてありふれた色の組み合わせにすぎない
 
上記Bの立体的な表現についても,原告説明図は平行四辺形と長方形を組み合わせて表現したものであり,立体形状の表現方法としては,最も単純でありふれた方法に属するものといえる。
 
上記Cのマットレスに横たわる人物についても,原告説明図は,黄色に彩色されたマットレスの上に足部分を,青色に彩色されたマットレスの上に臀部を,赤色に彩色されたマットレスの上に肩部分を,それぞれ描いて表現したものであり,これらの対応関係を表現するに当たってさしたる工夫も窺えない上,人物の表現方法も,これ以上できないほどに,その輪郭のみを簡略化してありふれた手法で模式的に描いたものであり,そこに創作性は認め難い
 
このように,原告説明図には,表現上の創作性が認められないので,著作権法上の「著作物」とはいえない。よって,著作権侵害に係るその余の点について検討するまでもなく,著作権侵害を理由とする原告パシフィックウエーブの請求には理由がない。











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