著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作者の「推定」を覆した事例(3)
「観音像仏頭部すげ替え事件平成220325日知的財産高等裁判所(平成21()10047 

 原告は,著作物の原作品である本件原観音像の体部(躯体部)の内部の「大仏師監修T」及び同足ほぞ部の「監修T」との墨書によって,T(亡T)の雅号である「T」が著作者名として通常の方法により表示されているから,Tは,法14条に基づいて,本件原観音像の著作者(共同著作者)と推定される旨主張する。
 
しかし,原告の請求は,以下のとおり,理由がない。
 
前記争いのない事実等のとおり,本件原観音像の体内(躯体の内部)には,「大仏師監修T」との墨書が,また,本件原観音像の足ほぞには,「監修T」との墨書が施されている。
 
しかし,他方で,@被告Yの供述中には,Tは,昭和625月ころから,認知症がひどくなってきており,本件原観音像の制作作業に関与できる状態にはなく,本件原観音像の制作作業に関与していない旨の供述部分があること,ATは,本件原観音像の制作がされた昭和62年当時通院中であり,その後昭和635月下旬から通院不能となり,同年729日死亡したことに照らすと,「T」との上記墨書から,Tが本件原観音像の著作者と推定されることを妨げる事実があるといえる。
 
また,原告の供述中には,本件原観音像の仏頭部の制作は,Tが健康のころはTが行い,TがなくなってからはほとんどRが行い,また,化仏の粗彫りは,TとRが行った旨の供述部分があるが,これに反する被告Yの供述部分に照らし,原告の供述部分は,到底採用することはできない。
 
他にTが本件原観音像の著作者であることを認めるに足りる証拠はない。











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