著作権重要判例要旨[トップに戻る]







黙示の利用許諾を認めなかった事例(7)
「がん闘病記事HP無断転載事件」平成220528日東京地方裁判所(平成21()12854 

 争点(1)-本件転載について原告の許諾があったかについて-
 
被告は,平成194月ころ,抗がん剤治療のため被告クリニックを受診した原告から,本件転載について許諾を得た旨主張し,被告作成の陳述書にはこれに沿う記載部分があるが,被告自身,その後(弁論準備手続終結後)に作成した陳述書及び本人尋問において,原告から本件転載の許諾を得たのは同年618日であると述べているのであって,その供述は一貫性に欠けるものといわざるを得ない。また,被告は,抗がん剤治療のため被告クリニックを受診した原告に対し,本件記事を被告ホームページに掲載(転載)することについての意向を確認したところ,原告は「いいですよ。」と回答した旨主張するが,仮に,被告が原告に対してそのような意向確認をしたとすれば,原告から,被告ホームページの趣旨,目的や,上記転載の時期,態様のほか,本件記事が掲載された「がん治療最前線」の出版社(八峰出版)との関係で問題はないか等の質問が発せられたはずであるが,被告本人の供述にはこれらの点について触れるところがほとんどなく,単に,原告から「いいですよ。」という回答(許諾)を得たということに終始するものであって,その主張及び供述は具体性が欠けているというほかない。さらに,本件転載に係る記事はかなり長文であるが,被告が原告から本件転載について許諾を得ていたのであれば,本件記事の中にはパソコンのワープロソフトで作成されたものもあったのであるから(原告本人),当該文書ファイルデータを利用できるよう原告から便宜を受けることが合理的であると考えられるが,本件においてそのような措置が一切採られていない(被告本人)のは,不自然との印象を免れない
 
以上のとおり,争点(1)に関する被告本人の供述には疑念をいれざるを得ず,採用することができない。その他,本件全証拠を検討しても,本件転載について原告が許諾した事実を認めることはできない。











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