著作権重要判例要旨[トップに戻る]







原画に着色したものの二次的著作物性(2)
「携帯配信用コンテンツ『恋愛の神様』事件」平成220428日東京地方裁判所(平成18()24088/平成230228日知的財産高等裁判所(平成22()10051 

【原審】

 (原告白黒画像)
 
前記に認定のとおり,原告代表者は「ルーンの書」を見たものと認められる上,ルーン文字には各種様々あるにもかかわらず,「恋愛の神様(NTTドコモ)」におけるルーン文字と「ルーンの書」のルーン文字とが一致していることは,単なる偶然であるとすることは困難であり,原告白黒画像及び原告カラー画像は,この「ルーンの書」の絵を参考にしたものと認められる。
 
ところで,「ルーンの書」の表紙裏には,四方が不規則に欠けた状態の長方形に点々が入って(欠けた部分については表面よりも多く)て石版状に見える石の上に,ルーン文字が書かれている絵が掲載されている。
 
原告白黒画像は,別紙美術対比表…のとおりであるところ,これは,四方が不規則に欠けた状態の長方形の中に適宜に点(ドット)をランダムに入れて(欠けた部分については表面よりも多く)石版を表した画像を3種類ほど用意し,これにルーン文字を上書きし,このうち正逆(上下)のあるものはこの画像を180度回転させたというものである。
 
石版の上にルーン文字が書かれているという構成は,上記「ルーンの書」の絵にかんがみて,ありふれた構成と認められる。そして,古来から伝わるルーン文字についてはもとより原告代表者が創作したものではなく,原告白黒画像のルーン文字部分はこのルーン文字をそのまま表現しているだけであるから,原告代表者が作成したといえるのは背景の石版部分だけである。そして,原告白黒画像で着目されかつ構成の中心となるのはルーン文字である一方,その背景の石版は格別これを見る者に着目されるところではなく,単に石版であることが分かればそれで十分といえる部分である。しかるに,不規則に欠けた状態の長方形に点(ドット)を打ち込んで石を表現するというのはありふれた表現手法にすぎないものであり,原告白黒画像はそのようなありふれた表現手法をそのまま用いて,具体的表現に当たり,欠けた部分の不規則さ,点の数を微調整しているにすぎないのであるから,ありふれた表現の範囲を出ない
 
したがって,原告白黒画像を全体と観察して,そこに既存のモチーフを離れた新たな創作性が付与されているものとは認め難く,原告白黒画像に創作性を認めることはできない
 
(原告カラー画像)
 原告カラー画像は,別紙美術対比表…のとおりであるところ,これは原告白黒画像の各ルーン石部分と新たに設定した背景部分にルーン石同士で同じ色の組合せが生じないように配色したほか,ルーン文字を影付き文字として石に刻み込まれた状態を表し,更にルーン石の下に影を付けたというものである。
 
以上のような加工を原告白黒画像に加えたことにより,原告カラー画像は,既存のモチーフを離れた新たな創作性が付与されたものというべきであり,原告カラー画像には創作性を認めることができる
 
被告らは,原告カラー画像は「ルーンの書」の絵にささいな改変を加えたにすぎない旨を主張するが,25個のルーンとその背景の配色にはほぼ無限の組合せがあるのであり,既存の著作物に色を付けたものが当然に新たな著作物となるものではないとしても,そのほかの加工も加味すれば,原告カラー画像には創作性があるというべきである。
 
被告らの上記主張は採用することができない。
 
下記のとおり,被告カラー画像が原告カラー画像と同一であり,偶然の一致でこのことが生じ得る可能性はないから,被告カラー画像は原告カラー画像に依拠したものと推認される。
 
別紙美術対比表…のとおり,原告カラー画像と被告カラー画像とは同一のものと認められる。
 
以上のとおりであるから,被告カラー画像には原告の著作権が及んでいると認められる。

【控訴審】

 美術(画像)の著作物性
ア 原告白黒画像について
 原告白黒画像は,別紙…のとおりであるが,原判決認定のとおり,「ルーンの書」に描かれたルーン文字及びルーン石の絵にかんがみて,作成者の思想又は感情が独創的に表現されているとはいい難く,創作性は認められない。
 原告は,作成当時,極めて限られたスペースの携帯電話画面上に,立体的かつリアルな画像が存在することはなく,大きな技術的制約があった中での原告白黒画像の創作性は大きいと主張するが,原告主張の点は,画像表現の創作性に関するものでなく,著作物性についての判断を左右しない。
イ 原告カラー画像について
 原告カラー画像は,別紙…のとおりであり,原告白黒画像に着色を施し,ルーン文字及びルーン石に影を付けたものである。これに伴い,背景色が付加され,ルーン石同士で同じ色の組合せが生じないようにし,ルーン文字が石に刻まれたような印象がより鮮明になったとはいえるが,ルーン石やルーン文字の形状は原告白黒画像と変わるところがなく,また,配色のしかたについても,特段の創意があるとまではいえない。そうすると,画像の表現そのものに,「ルーンの書」に描かれたルーン石の絵や原告白黒画像を離れて,創作が加えられたと評価することはできないから,原告カラー画像に著作物性は認められない
ウ したがって,原告白黒画像及び原告カラー画像に著作物性は認められない。











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