著作権重要判例要旨[トップに戻る]







先行科学技術文献として引用されないことは著作者人格権侵害に当たるか
縮少投影露光装置テクニカルレポート事件昭和571210日東京地方裁判所(昭和57()8975) 

 原告の主張の要旨は、原告は半導体工業用の光学的縮小投影露光装置が備えるべき基本原理を研究し、1969930日に日刊工業新聞が主催した講習会において世界で初めて右原理につき講義してその講義録…を同社刊行のテキストに掲載し、更に雑誌…に掲載された…と題する論述中に右原理の内容を明記している(右講義録及び論述を、以下「本件著作物」という。)ところ、被告会社は、右原理を応用して製品化した…縮小投影露光装置…を販売する際にそのTECHNICAL NOTEと称するパンフレットを印刷、頒布しており、被告【B】は雑誌…に右装置に関し…と題する文章を掲載しているが、その際右両被告は、右両文書に、この種装置が必ず備えるべき原理を創作して論述した重要な先行文献たる原告の本件著作物を全く引用せず、したがつて、両被告の右各行為は原告の本件著作物についての著作者人格権を侵害する行為であり、被告【A】は、被告会社、被告【B】と共謀関係にあるというにある。
 
そこで検討するに、科学等の著述をなすに際し、その分野の先行文献を引用するか否かは、本来該当著述者の自由にまかされているものであつて、先行文献の引用が適切にされていない場合に、引例の不適切としてその著述の内容ひいてはその著述者の学識に対する低評価等がもたらされることがありうることは格別として、著作権法上は先行文献を著述において引用(使用)していない以上当該先行文献の著作者の著作者人格権の侵害が問題となることはないことが明らかである。
 
したがつて、本件著作物が引用されていないことをもつて著作者人格権の侵害であるとの立論に基づく原告の本訴請求は、失当といわざるをえない。











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