著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作年月日登録
「『智恵子抄』事件」昭和631223日東京地方裁判所(昭和41()12563 

[参考:旧著作権法15条(登録)]

B 著作者ハ現ニ著作権ヲ有スルト否トニ拘ラズ其ノ著作物ノ著作年月日ノ登録ヲ受クルコトヲ得

[参考:旧著作権法35条(著作者・発行者の推定]

D 15条第3項ノ規定ニ依リ著作年月日ノ登録ヲ受ケタル著作物ニ在リテハ其ノ年月日ヲ以テ著作ノ年月日ト推定ス 


 被告が、昭和40614日付けで本件登録をしたことは、当事者間に争いがない。…によると、Aは、昭和3142日死亡し、亡Mが「智惠子抄」の編集著作権及び「智惠子抄」を構成する各詩文等の著作権を相続により取得したことが認められる。また、昭和4762日亡Mの死亡により亡Nが右各権利を相続により取得し、次いで、昭和58720日、同人死亡により、原告が右各権利を相続取得したことは、本件記録上明らかである。
 
被告は、旧法153項の著作年月日登録(以下、「著作年月日登録」という。)は、同法355項によつて、その著作年月日が推定されるという効果を有するにとどまり、著作権者を公示するものでもなければ、著作者を法律上推定させる効果を有するものでもなく、また、著作年月日登録は、著作者のみがすることができるのであるから、著作権の承継人にすぎない原告はその抹消登録手続を求めることができないと主張する。
 
ところで、著作年月日登録の効果は、新法付則12条、旧法355項の規定により、登録された著作年月日が著作の年月日と推定されるというにとどまらず、著作登録簿に著作者として表示されている者が、著作者として事実上推定されるものである。更に、旧法施行令付則5条により、著作年月日登録がされている著作登録簿が新法における著作権登録原簿とみなされるところ、新法施行規則別記様式第六4[備考]2、同様式第3[備考]6によると、著作権者が著作権の登録(新法77条)をする場合には、前登録の年月日及び登録番号を記載することが要求されているから、右著作登録簿に記載された内容と齟齬する内容の著作権登録申請は、これを拒絶されるおそれが存する。このように、真実の著作者以外の者の名義により著作年月日登録がされる場合には、これによりその著作物の著作権者は、円満な著作権の行使を制約されることになる。したがつて、著作権者は、その有する著作物について、真実の著作者以外の第三者が自分を著作者と表示して著作年月日登録をした場合には、その第三者に対して、当該著作年月日登録の抹消登録手続を求めることができるというべきである。
 
これを本件についてみるに、前記のとおり、被告は、「智惠子抄」について、編集著作者でないのに自分が編集著作者であるとする本件登録(著作年月日登録)をしたものであるから、数次の相続を介してAから「智惠子抄」の編集著作権を取得した原告は、被告に対し、本件登録の抹消登録手続をすることを求めることができる。
 そうすると、その余の点について判断するまでもなく、原告の「智惠子抄」の編集著作権に基づく被告に対する本件登録の抹消登録手続請求は理由があると認められる。












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