著作権重要判例要旨[トップに戻る]







書籍の著作者名表示と商標的使用
「書籍『高嶋象山』事件」平成20327日東京高等裁判所(平成1(行ケ)178 

 商標法上商標の本質的機能は、商品の出所を明らかにすることにより、需要者に自己の商品と他の商品との品質等の違いを認識させること、すなわち自他商品識別機能にあると解するのが相当であるから、商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な使用方法や表示の態様からみて、それが出所を表示し自他商品を識別するために使用されていることが客観的に認められることが必要である。また、商標法上商標が付される商品とは、流通の対象となる有体物そのものを指し、商品としての「書籍」についていえば、これを出版し販売することを業とする者がその出所の主体であり、かかる業務主体は、その使用に係る商標を介して、例えば、製本の堅牢さ、印刷の美しさ・正確さ、装丁の美しさ等につき自己の出所に係る商品である書籍の品質の良さを需要者に訴え、記憶にとどめさせることにより、自他商品の識別機能の発揮を期待するのである。
 
…によると、通常、一般的に書籍の表紙には題号、著者名が、背表紙には、題号、著者名及び出版者名が、また、裏表紙には出版者名が表示されるものであることが認められるところ、別紙にみられる表紙及び背表紙における表示の態様も、通常の一般的な書籍の表示態様と変わるところがないから、この使用態様におけるような表示のある書籍に接した需要者としては、「高嶋象山」の文字をこの書籍の著作者名と認識し、かつ、背表紙の下部に表示された「金園社」が有体物である商品「書籍」の出所であり、これを出版し販売する業務の主体であると認識することは明らかである。したがつて、かかる一般的な書籍の表示態様と対比し、別紙の使用態様における表示をみるかぎり、有体物である商品「書籍」について出所を表示し自他商品の識別のための標識として機能しているのは「金園社」の表示であり、「高嶋象山」の文字をもつて「自他商品の識別機能」を示すものと認めることは困難というほかない。この点、原告は、需要者は書籍の商標として普通に行われているように表紙、背表紙に「高嶋象山」の文字が表示されているのをみて同種の他の書籍と識別し、特定の出所から出た同一品質のものであると安心かつ信頼してその書籍を購入するものであるし、商標使用者としてはそれによつて自己の商品の販路、得意先(グツドウイル)の確保が期待できるから、使用態様における「高嶋象山」の文字部分に商品識別機能がないとはいえない旨主張する。しかしながら、原告の右の主張は、商品としての「書籍」の意義について有体物としてだけでなく、その記述内容をもこれに含ませたうえ、「高嶋象山」の表示を介して需要者が認識する精神的な労作である著作物の同一性ないしはその信頼性についての識別機能をいうものであり、有体物である商品「書籍」を出版販売する義務主体の識別機能をいう商標本来の領域とは異なる領域に属することを論ずるものであるから、到底採用できない。…











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