著作権重要判例要旨[トップに戻る]







紛争の成熟性
「円谷プロ国際契約事件@」平成130608日最高裁判所第二小法廷平成12()929 

【コメント】本件は、上告人が、被上告人に対し、@「本件警告書」が日本に送付されたことにより上告人の業務が妨害されたことを理由とする不法行為に基づく損害賠償(「本件請求@」)、A被上告人が日本において本件著作物についての著作権を有しないことの確認(「本件請求A」)その他を求めた事案です。

 
「本件請求A」について、原審及び控訴審は、次のように判断して、本件訴えを却下すべきものとしました:「本件請求Aについては,日本における著作権の所在地が日本国内であることは明らかであるから,我が国に財産所在地の国際裁判管轄がある。しかし,上告人が本件請求Aの確認の利益を基礎づける事実として主張するのは,タイ訴訟において,被上告人が本件著作物についての著作権を上告人と共有している旨の主張をしていることのみであり,これによって,日本国内における本件著作物の著作権の帰属自体をめぐる紛争が,訴訟によって解決するに値するほどに成熟しているとはいえない。したがって,本件請求Aについて確認の利益を認めることはできない。」

 
なお、本件における事実関係は、概ね、次のとおりです。

上告人は,「本件著作物」の日本における著作権者であり、ベルヌ条約により、ベルヌ条約の同盟国であるタイ王国においても著作権を有する。上告人は、株式会社Dに対し、日本及び東南アジア各国における本件著作物の利用を許諾している。被上告人は、タイ王国に在住する自然人であって、日本において事務所等を設置しておらず、営業活動も行っていない。

「本件契約書」には、「Gフィルム社」の社長である被上告人に対し、昭和5134日付けで、日本を除くすべての国において、期間の定めなく、独占的に本件著作物についての配給権・制作権・複製権等を許諾する旨の記載がある。

香港に所在するI法律事務所は、平成94月、Gフィルム社の代理人として、株式会社D及びその子会社並びに株式会社Dと合併交渉中であった株式会社Jエンタープライゼスに対し、「Gフィルム社は,本件著作物の著作権を有し,又は上告人から独占的に利用を許諾されているから,株式会社Dの香港,シンガポール及びタイ王国における子会社が本件著作物を利用する行為は,Gフィルム社の独占的利用権を侵害する」旨の警告書(「本件警告書」)を送付し、そのころ、本件警告書は、日本における上記各社の事務所に到達した。

上告人は、本訴提起後の平成912月、タイ王国の裁判所に、被上告人外3名を相手方として、被上告人は本件著作物についてタイ王国における著作権を有しておらず、上告人から利用の許諾も得ていない、本件契約書は被上告人が偽造したものであるなどと主張して、本件著作物についてタイ王国における被上告人外3名の著作権侵害行為の差止め等を求める訴えを提起し、同訴訟は、刑事事件及び刑事に関連する民事事件として同国裁判所に係属している(「タイ訴訟」)。タイ訴訟において、被上告人は、本件著作物につきタイ王国における著作権を上告人と共有している旨の主張をしている 


 本件請求Aは,請求の目的たる財産が我が国に存在するから,我が国の民訴法の規定する財産所在地の裁判籍(民訴法54号,旧民訴法8条)が我が国内にあることは明らかである。
 
ところで,著作権は,ベルヌ条約により,同盟国において相互に保護されるものであるから,仮に,被上告人が本件著作物につきタイ王国における著作権を上告人と共有しているとすれば,日本においても,被上告人のタイ王国における共有著作権が保護されることになる。被上告人がタイ訴訟において本件著作物についてタイ王国における著作権を共有していると主張している事実は,本件請求Aの紛争としての成熟性,ひいては確認の利益を基礎づけるのに十分であり,本件請求Aの確認の利益を否定した原判決には,法令の解釈適用を誤った違法がある
 よって,本件請求Aについては,我が国の裁判所に国際裁判管轄があることを肯定すべきである。
 
(略)
 
以上に説示したとおり,本件各請求につき我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定し,本件請求Aについては訴えの利益も肯定すべきである。…











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