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カラオケ設置者の不法行為責任-スナックの実質的な経営者が問題となった事例-
「スナックシャレード事件」平成121031日東京地方裁判所(平成12()1976
 

 まず、被告C及び被告Dが被告Bと共に本件店舗を共同で経営しているかどうかについて、検討する。
 
被告Cが被告Bの妻であり、本件店舗においていわゆる「ママ」として稼働し、客らに対して自らをその経営者と称していたこと、被告Cが本件物件のリース契約の名義人であることは、いずれも争いがなく、…によれば、被告Bは平成9年から平成11年までの間、神奈川県足柄下郡<以下略>において飲食店「楽々亭」を経営し、その間、本件店舗の営業は被告C一人が行っていたことが認められる。しかしながら、他方、…によれば、平成9年及び平成10年分の本件店舗の営業に係る事業所得税の申告においては、被告Bが単独で本件店舗を経営しているものとされていることが認められるのであって、この点に照らせば、被告Cが被告Bの妻であり、本件店舗においていわゆる「ママ」として稼働し、客らに対して自らをその経営者と称しており、本件店舗の営業を被告C一人が行っていた時期もあったとしても、家族による手伝いの域を超えてその経営に参画していたとまで直ちに認め得るものではない。また、被告Cが本件物件のリース契約の名義人である点についても、被告B本人尋問の結果によれば、カラオケ装置のリース契約の名義人については当初被告Bであったところ、被告Bと被告Cとの間で離婚話が出た際に、将来離婚する事態となった場合を慮って被告C名義に変更されたことが認められ、右の事情に照らせば、被告Cが本件物件のリース契約の名義人であることを理由に本件店舗の経営者であると直ちに認めることはできず、他に被告Cが本件店舗の経営に被告Dと同程度に参画していたと認めるに足りる証拠はない。
 被告Dが被告B及び被告Cの子であり、本件店舗の保健所の営業許可名義人であることは、いずれも争いがない。しかしながら、…によれば、本件店舗の営業許可名義人については当初被告Bであったところ、被告Bが体調を崩して入院したのを機に被告Dに変更されたこと、被告Dは、本件店舗において手伝いをしたことはあったものの、従業員として有償で働いたことはないことが認められ、右の事情に照らせば、被告Dが本件店舗の保健所の営業許可名義人であることを理由に本件店舗の経営者であると直ちに認めることはできず、他に被告Dが本件店舗の経営に被告Bと同程度に参画していたと認めるに足りる証拠はない。
 
したがって、被告C及び被告Dは、被告Bと共に本件店舗を共同で経営しているものとは認められず、本件店舗は、被告Bの単独経営というべきである。
 
本件店舗には平成元年121日以降、カラオケ装置(レーザーディスクカラオケ装置又は本件物件)が設置されており、その従業員らは、来店した客にカラオケ装置を操作させて本件著作物の伴奏音楽を再生し、その伴奏音楽に合わせて客に歌唱させていたことは、前記のとおりであり、…によれば、本件店舗においては「飲み放題&唄い放題」と書かれた広告チラシが配布されていたこと、来店した客は従業員らから「自由に入れてください」と言われてカラオケ装置の操作用リモコンを渡され、他の客の面前で歌唱していたこと、株式会社コインジャーナル発行のカラオケ愛好者向けの雑誌「月刊カラオケfan」19913月号には、「二枚目マスターとカラオケ無料が人気の秘密」、「何曲歌っても無料というリーズナブルな料金で都内だけでなく近県からのファンにも好評なお店」などという本件店舗についての記事が、その営業時間や料金の案内、所在場所を示した地図と共に掲載されていたことが認められる。
 
右の事実を総合すれば、本件店舗の経営者である被告Bは、本件店舗において、営業政策の一環としてカラオケ装置を備え置き、その使用に対して料金を収受しないことを強調して客の来集を図り、客にカラオケ装置の操作用リモコンを渡して歌唱を勧め、本件店舗に備え置かれたカラオケ装置によって用意できる範囲内で選曲させ、被告Bの管理の下、客にカラオケ装置を操作させて本件著作物の伴奏音楽を再生し、その伴奏音楽に合わせて客に歌唱させていたものと認められる。このような事実関係の下においては、カラオケ装置による演奏(伴奏音楽の再生とこれに合わせた歌唱)という形態による本件著作物の利用主体は、被告Bであり、同被告は、自らその主体となって、公衆(不特定多数の者)に直接見せ又は聞かせることを目的として本件著作物を演奏したものというべきである。
 
したがって、被告Bは、平成元年121日以降、故意又は過失により本件著作権(演奏権)を侵害していたものというべきである。
 前記のとおり、被告C及び被告Dについては、本件店舗の営業に一部関与していたことは認められるものの、被告Bと共に本件店舗を共同で経営しているとまでは、証拠上認められないから、被告C及び被告Dが本件著作権を侵害していたと認めることはできない。
 
したがって、被告C及び被告Dに対する損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。











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