著作権重要判例要旨[トップに戻る]







カラオケ設置者の不法行為責任-カラオケボックスの実質的な経営者が問題となった事例-
「カラオケルーム『サザン』事件」平成121114日大阪地方裁判所(平成11()13711 

 本件各店舗におけるカラオケ営業の状況は、前記…記載のとおりであり、右によれば、本件各店舗では、客は、指定された歌唱室内で、経営者が用意した特別のカラオケ用機器を使って、同じく経営者が用意した楽曲ソフトの範囲内で伴奏音楽を再生させるとともに歌唱を行うものであり、しかも右再生・歌唱は利用料金を支払う範囲で行うことができるにすぎない。
 これらからすれば、客による右再生・歌唱は、本件各店舗の経営者の管理の下で行われているというべきであり、しかもカラオケ歌唱室としての営業の性質上、店舗経営者はそれによって直接的に営業上の利益を収めていることは明らかであるから、本件各店舗における伴奏音楽の再生及び歌唱の主体は、経営者であるというべきである。
 そして、本件各店舗の経営者は、本件各店舗において、カラオケ機器を使って、管理著作物を公に再生及び歌唱することによって、原告の演奏権を侵害し(著作権法22条)、また、レーザーディスクカラオケにより、録画した映画の上映とともに歌詞をモニターテレビに映し伴奏音楽を再生することは、原告の上映権を侵害する(現行著作権法2117号、22条の2)。
 
被告C、同D、同E、同F、同G、同H及び同Iが、前記…記載の期間に経営名義人として本件各店舗の経営を行っていたことは当事者間に争いがない。
 (略)
 よって、右被告らは、右各期間における原告の管理著作物の無断使用に伴う不法行為責任(民法709条)を負い、原告に対し使用料相当損害金の賠償責任を負う。
 
[被告ミナミ商事及び被告Bの責任について]
 …によれば、被告ミナミ商事は、経営名義人との間で本件各店舗について賃貸借契約を締結し、経営名義人は、自己の名で本件各店舗における営業に関し、営業の種類を飲食店営業とする食品衛生法21条の許可を取得し、右営業について税務申告をしていることが認められ、右事実関係からすれば、被告ミナミ商事と各経営名義人との関係は、被告ミナミ商事は本件各店舗の賃貸人として関与し、営業許可や税務申告等の手続上の経営主体は、経営名義人であった事実が窺われる。
 しかしながら、被告ミナミ商事が、本件各店舗において、カラオケ歌唱室営業のため必要な内装及び諸設備、すなわち、通信カラオケ装置、レーザーディスクカラオケ装置等のカラオケ関連機器、各室毎の防音工事、受付設備等を設置し、カラオケ歌唱室用の店舗として営業ができるように準備したこと、被告E、同G、同I及び同Eは、被告Bの親族であり、被告E及び同Gは被告ミナミ商事の取締役ないし監査役であることは、前記記載のとおりであり、さらに、…によれば、次の事実が認められる。
(1) 被告Bは、被告ミナミ商事の全株式を有し、代表取締役として貸ビル業等の経営に当たっていたが、平成5年ころ、経済状況の悪化に伴い空き店舗が増えてきたため、本件各店舗内にカラオケ関連機器を備え、いずれも「サザン」という共通の名称部分を有する店名を付し、右店名を用い右カラオケ関連機器を用いてカラオケ営業を行うことを前提として、本件各店舗を賃貸することとした。
(2) 被告ミナミ商事は、本件各店舗の電気代、ガス代、電話代、喫茶材料の仕入費用、求人広告費、カラオケ事業者に係るリース料等の費用等を支払い、これを本件各店舗のための立替金として会計処理する一方、月末等に帳簿上「立替分回収」の名目で本件各店舗の売上金から前記費用の返済を受けた旨の会計処理をし、本件各店舗の仕入代金、家賃、リース代等を合計し、売上金では不足する部分については各経営名義人に対する貸付金として計上するという処理を行っていた。
 右処理により、本件各店舗の経営名義人は、本件各店舗に赤字が生じてもほとんどリスクを負担することはなかった。
(3) 被告ミナミ商事は、カラオケルーム「サザン」として本件各店舗の名称を付し、すべての店舗で使用できる共通のメンバーズカードを作成して配布するとともに、本件各店舗の広告、宣伝を一括して行っていた。
(4) 本件各店舗の経営名義人には、被告Bの親族以外の被告C、同D及び同Fも含まれているが、そうした親族以外の者の借り手が見つからない場合には、被告Bの親族が本件各店舗の経営名義人になってその営業を継続し、休業しないようにしていた。
(5) 原告からミナミ商事に対して、本件各店舗のカラオケ営業について管理著作物の使用に関する契約を締結する必要がある旨申し入れた際、被告Bないし被告ミナミ商事の営業部長が対応し、経営名義人であるその余の被告らが対応したことはなかった。
 
右事実関係によれば、被告ミナミ商事は、本件各店舗に自らの費用によりカラオケ関連機器一式を設置した上、「サザン」という共通の屋号を付した同一グループのカラオケ店舗として開店させたばかりでなく、その開店後も、営業に伴う経費の大部分を支出し、本件各店舗の収支が赤字になった場合には帳簿上経営名義人に対する貸付金として会計処理し、実質的にはその損失部分を負担し、本件各店舗の売上げをのばすための広告、宣伝を一括して行うなど、賃貸人として経営名義人に建物を使用、収益させる義務を超えて、本件各店舗の経営に実質的に関与していたのであり、原告との管理著作物使用契約締結をめぐる交渉についても、各経営名義人に代わって一括して担当していたのであるから、本件各店舗の共同経営者と同視できるというべきである。
 また、被告Bは、被告ミナミ商事の全株式を有し、その代表者という立場で、本件各店舗でのカラオケ営業を企図し、本件各店舗の借り手が見つからない時等に自らの親族に経営名義人になってもらうなど、被告ミナミ商事が行った本件各店舗の経営管理について、その代表者として関与した上、前記記載のとおり、原告から、管理著作物の使用に関する契約を締結する必要がある旨の申入れを受けたことを知りながら、右使用許諾契約を締結することなくカラオケ営業を継続したものであるから、本件各店舗におけるカラオケ営業に伴う原告の管理著作物の著作権侵害行為に加担したものというべきであり、また、右加担について、故意ないし過失があるものというべきである。
 
よって、被告ミナミ商事及び被告Bは、本件各店舗における原告の管理著作物の無断使用に伴う不法行為責任(民法709条)を負い、原告に対し経営名義人と連帯して使用料相当損害金の賠償責任を負う。











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