著作権重要判例要旨[トップに戻る]







カラオケ設置者(カラオケボックス経営者)の不法行為責任(6)
「管理音楽著作物債務不存在確認事件」平成121226日東京地方裁判所(平成9()25151)/平成130718日東京高等裁判所(平成13()787 

【原審】

 …によれば、別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗の歌唱用の各部屋においては、主として客が自ら右各部屋に設置されたカラオケ装置を操作して伴奏音楽を再生し、また、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱していたものであるが、他方、原告らは、それぞれの対応店舗の歌唱用の各部屋にカラオケ装置を設置し、来店した客が容易にカラオケ装置を操作できるようにした上で、客を右各部屋に案内していたこと、右各部屋に楽曲索引を備え置いて客の選曲の便に供していたこと、客から求められれば原告らの従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示していたこと、客は、指定された歌唱用の部屋において、定められた時間の範囲内でその時間に応じた料金を原告らに支払い、原告らが用意したカラオケソフトに収納されている曲目の範囲内で選曲して歌唱していたことが認められる。
 
右認定の事実関係からすれば、原告らは、それぞれの対応店舗において、客の選曲に従って自ら直接カラオケ装置を操作する代わりに客に操作させているということができ、また、客による歌唱についても、原告らの管理の下で行われていたものというべきであって、それぞれの対応店舗において伴奏音楽の再生及びこれに合わせた歌唱によって管理著作物の利用(演奏ないし上映)を行っている主体は、その経営者である原告らにほかならず、原告らは、公衆(不特定多数の客)に直接聞かせ、見せることを目的として管理著作物の演奏ないしその複製物を含む映画著作物の上映を行ったものというべきである。
 右のとおり、原告らは、それぞれの対応店舗の歌唱用の各部屋において、管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱を行っていたものと認められるところ、原告らは、被告協会がカラオケボックス店舗における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても許諾をしており、その対価は既に業務用カラオケソフトの製作者から受けている対価に含まれている旨を主張する。
 
そこで検討するに、カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックス店舗において公に再生する行為及びこれに合わせて歌唱する行為とは、明らかに別個の行為であり、それぞれについて別個に許諾がされ、著作物使用料が支払われるべきものである。そして、…によれば、被告協会と業務用カラオケソフト製作者との契約では、管理著作物の複製のみが許諾の対象とされていたものと認められる。当時、業務用カラオケソフトについてカラオケボックス営業等で利用されることが予定されており、また、被告協会が業務用カラオケソフトの製作を許諾した昭和45年ころから長期にわたって別途演奏についての対価を徴収しなかったという事実が存したとしても、右認定が左右されるものではない。
 
したがって、被告協会がカラオケボックス店舗における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても許諾をしたということはできず、原告らの右主張は失当である。

【控訴審】

 
[本件店舗における管理著作物の利用主体について]
 …によれば、個人経営期間中及び会社経営期間中の本件店舗におけるカラオケボックスの営業においては、本件店舗内のカラオケ装置の設置された歌唱室を使用する客が、通常は自ら当該カラオケ装置を操作して伴奏音楽の再生(演奏・上映)をし、また、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱(演奏)していたものであること、他方、同営業の主体であった控訴人ら(個人経営期間中においては控訴人A、会社経営期間中においては控訴人会社)は、本件店舗の各歌唱室にカラオケ装置を設置し、客が容易にカラオケ装置を操作できるようにするとともに、客の選曲の便宜のため楽曲索引を備え置いた上で、各歌唱室を客に使用させており、また、客から求められれば、控訴人らの従業員がカラオケ装置を操作して、その操作方法を客に教示していたこと、客は、控訴人らから指定された本件店舗内の歌唱室を所定の時間使用し、控訴人らが用意したカラオケソフトに収録されている曲目の範囲内で管理著作物を含む楽曲を選択して、上記のとおり再生された伴奏音楽に合わせて歌唱し、また、歌唱室の使用時間に応じた使用料金を控訴人らに支払っていたことが認められる。
 
上記事実関係に照らせば、本件店舗におけるカラオケボックスの営業において、伴奏音楽の再生を目的として、現実にカラオケ装置の操作を行い、また伴奏音楽に合わせて現実に歌唱していた者は客であるものの、その操作、再生及び歌唱は同営業の主体である控訴人らの管理の下で行われていたものというべきであり、かつ、控訴人らは、客にその操作、再生及び歌唱をさせることによって、直接的に同営業に係る利益を得ているものであるところ、このような伴奏音楽の再生及び歌唱による管理著作物の利用(演奏・上映)の主体は、同営業の主体である控訴人らであるとすることが相当であり、控訴人らは、公衆(不特定多数の客)に直接聴かせ、見せることを目的として管理著作物の演奏ないしその複製物を含む映画著作物の上映を行ったものというべきである。
 [業務用カラオケソフトに係る管理著作物の再生等の許諾について]
 
管理著作物に係るカラオケソフトを製作する行為、すなわち、管理著作物を複製することと、製作された当該カラオケソフトをカラオケボックス店舗において公に再生する行為及びこれに合わせて歌唱する行為、すなわち管理著作物を公に演奏・上映することとは、明らかに別個の行為であり、それぞれについて別個に許諾がされ、著作物使用料が支払われるべきものである。そして、…によれば、被控訴人は、業務用カラオケソフト製作者との契約において、同製作者に対し、管理著作物の録音、すなわち、その複製を許諾したことが認められるが、その許諾をするとともに、飲食店やカラオケボックス等における業務用カラオケソフトを使用した管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても同時に許諾したとの事実を認めるに足りる証拠はない。もとより、業務用カラオケソフトの製作について許諾したからといって、当然に、カラオケボックス等における業務用カラオケソフトを使用した管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱について許諾の効果が生ずるということもできない。
 
この点につき、控訴人らは、飲食店等における商業利用を予定して製作される業務用カラオケについて、その商業利用を留保して許諾をするようなことは無意味であると主張するが、管理著作物に係る業務用カラオケソフトが、飲食店等における商業利用、すなわち、飲食店やカラオケボックス等において公に再生(演奏・上映)し、これに合わせて歌唱する行為に供することを目的として製作されるものであり、したがって、上記再生、歌唱の段階にまで至れば、これについての許諾を要するものであるとしても、その許諾を上記製作についての許諾を得る段階で必ず同時に得なければならないとする理由は存在しない。控訴人らの上記主張は、ある段階に至れば上記再生、歌唱についての許諾が必要になることと、その許諾が上記製作についての許諾を得る段階において必要であることとを混同した議論であるというほかはなく、これを採用することができない。なお、以上の点ついては、仮に、被控訴人が昭和45年ころ以降、長期にわたって演奏についての対価を徴収しなかった経緯があったとしても変わるところはないというべきである。











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