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利用許諾契約の解釈(22)
「脚本著作物同時再送信契約事件」平成131129日東京高等裁判所(平成13()3877 

【コメント】本件は、控訴人(有線放送事業者)との間において、「被控訴人らは、控訴人に対し、控訴人が所定の使用料を支払うことを条件に、被控訴人らがコントロールを及ぼし得る範囲に属する著作物(「本件脚本著作物」)を使用して制作されたテレビ放送番組又はラジオ放送番組をケーブルによって変更を加えないで同時再送信することを許諾する」、並びに、「芸団協は、控訴人に対し、控訴人が所定の補償金を支払うことを条件に、芸団協の会員の実演によって制作されたテレビ放送番組又はラジオ放送番組を控訴人がケーブルによって変更を加えないで同時再送信することに対し、放送事業者に異議を申し立てない」との契約(「A契約」・「B契約」)を締結した被控訴人(脚本の管理団体)が、控訴人に対し、A契約・B契約に基づいて、未払いの使用料及び補償金の支払いを求めた事案です。 

 控訴人は,被控訴人の詐欺的行為によってA契約及びB契約を締結したものであり,両契約は,控訴人の錯誤によってなされたものであるから,無効であると主張するが,失当である。本件全証拠によっても,控訴人がA契約及びB契約を締結するに当たって錯誤があったとの主張を裏付ける証拠を見いだすことはできない。
 
控訴人は,映画の著作権は,映画製作者に帰属するものであるから(著作権法29条),放送事業者が制作したテレビドラマ等であれば,その著作権は,放送事業者にあるだけであって,脚本家や俳優等に帰属することはないから,脚本家や俳優等は,放送事業者から報酬を受け取るだけであり,著作権に基づく権利主張をすることはできないと主張する。
 
しかしながら,前述したとおり,被控訴人は,A契約及びB契約に基づき,使用料等を支払うよう求めているのであり,著作権に基づく権利主張をしているわけではないから,控訴人の上記主張は,失当である
 
控訴人は,実演家は,録音権・録画権・放送権を有するとしても,ワン・チャンス主義という制限があって,一度,映画製作者及び放送事業者に許諾を与えれば,その後は,権利主張をすることができない(著作権法912項参照),したがって,被控訴人は,控訴人に対し,著作権法に基づき,本件脚本著作物の使用料等を支払うよう求めることができないと主張する。しかし,被控訴人が,著作権に基づき権利主張をしているのでないことは,前述したとおりである。控訴人の上記主張も,失当である
 
(略)
 
控訴人は,A契約及びB契約に基づく使用料等の支払請求権のうち平成7年度及び平成8年度分について5年の短期消滅時効により消滅した旨主張する。
 
しかしながら,前記認定のとおり,控訴人と被控訴人らとは,A契約及びB契約によって,使用料等の支払期限を各年度(41日から331日まで)の終了後2か月以内とする合意をしており,同合意によれば,平成7年度分の使用料等の場合の5年の短期消滅時効の起算点は,平成8331日の2か月後である平成861日であり,時効期間満了日は平成13531日である。一方,被控訴人が平成13426日に本訴を提起したことは,記録上明らかである。
 そうすると,商事債権(商法522条)の5年の消滅時効は,被控訴人の本訴提起により中断されている。
 控訴人の上記主張は,理由がない。











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