著作権重要判例要旨[トップに戻る]







カラオケ設置者の不法行為責任-スナックの実質的な経営者が問題となった事例A-
「大阪市スナックカラオケ事件」平成140418日大阪地方裁判所(平成13()435 

 前記の認定事実によれば、少なくとも平成31115日から平成11511日までの間において、本件店舗の経営者は被告であったものと認められる。
 前記の認定のとおり、平成1156日、本件店舗における飲食店の営業許可の名義がCからDに変更されたこと、被告が、同年96日、カラオケ装置をリース業者に撤去させたこと、平成121213日、Dが原告との間で、本件店舗における管理著作物の利用につき、音楽著作物利用許諾契約を締結したことは認められる。しかし、前記の認定によれば、被告が、平成115月以降も、本件店舗に出店し、店の中心的な存在として接客等を行っていることが推認されるから、前記の営業許可の名義変更、カラオケ装置の撤去、Dによる音楽著作物利用許諾契約の締結は、被告が、仮処分の申立てを受け、本件店舗におけるカラオケの使用が差し止められるのを防ぐために取った措置によるものと推認され、これにより、被告が経営者であることが否定されることはないというべきである。
 
被告は、本件店舗を、E、F、GDに転貸していたと主張し、…には、それに沿う記述があり、被告本人尋問の結果中には、それに沿う供述がある。
 
しかし、転貸借契約の契約書や転貸料の支払を裏付ける書類の提出は一切ない。被告の主張によっても、被告は、EDが転貸を受けていた時期には店に出て接客等を行っていたのであるし、…においては、F、Gが転貸を受けていた時期に、客の紹介料として飲食代金の10パーセントを収受していた旨を被告訴訟代理人が回答しており、被告が本件店舗の営業に深くかかわっていたことは、否定されない。また、本件店舗に在店した期間は、Eが約41か月、Fが約19か月、Gが約6か月であり、これらの者が交代しても、本件店舗は営業を続けていたものである。被告は、被告の年齢や景気の低迷を本件店舗を転貸した理由として主張するが、本件店舗を自ら経営せずに転貸する理由としては合理性が薄弱である。むしろ、前記のとおり本件店舗の営業に深くかかわっていたのであれば、被告が本件店舗を経営していたと評価することができる。また、前記の認定のとおり、本件店舗の実態調査の際、Dは、調査員に、「ママ」又は「レギュラーの女の子」として紹介されていた。前記の認定事実に、これらの事情を合わせ考えると、本件店舗を、E、F、GDに転貸していたという被告の主張は、採用することができず、それに沿う各証拠の記述、供述は、信用することができない。そして、E、F、GDは、転借人ではなく、常雇いの従業員又は共同経営者であったものと推認される。
 
(略)
 …によれば、被告は、20歳代のころからクラブ等でホステスとして稼働し、本件店舗の開店前に、自ら、ピアノ演奏を行うクラブを経営したこともあると認められるから、本件店舗の開店時に、クラブ等における音楽著作物の利用について音楽著作物利用許諾契約の締結及び著作物使用料の支払が必要であることを知っていたものと推認できる。また、著作物を公に演奏する権利を著作者が専有すること及び著作権の保護期間は著作権法の定めるところであり、昭和63315日、最高裁判所が「スナック等の経営者が、カラオケ装置と音楽著作物たる楽曲の録音されたカラオケテープとを備え置き、客に歌唱を勧め、客の選択した曲目のカラオケテープの再生による伴奏により他の客の面前で歌唱させるなどし、もって店の雰囲気作りをし、客の来集を図って利益をあげることを意図しているときは、同経営者は、当該音楽著作物の著作権者の許諾を得ない限り、客による歌唱につき、その歌唱の主体として演奏権侵害による不法行為責任を免れない」旨の判決を言い渡し(最高裁判所昭和63315日第3小法廷判決)、同判決が当時マスコミ等により報道されたことは当裁判所に顕著である。したがって、仮に被告が、本件店舗開店時に、カラオケ装置により他人が著作権を有する音楽著作物を無断で演奏することが著作権侵害に当たることを知らなかったとしても、法を知らなかったことを理由に過失を免れるものではない。さらに、弁論の全趣旨によれば、本件店舗のような店でカラオケ伴奏による歌唱により演奏される曲の多くは、近年一般の人気を博している曲であり、これらは、著作権の保護期間内のものである蓋然性が高く、かつこのことは一般に周知のことであると推認されるから、仮に演奏された個々の音楽著作物が保護期間内のものか否かを被告が知らなかったとしても、知らなかったことにつき過失があったものといわざるを得ない
 
したがって、被告は、本件店舗において、原告の著作権を侵害することを知りながら、又は少なくとも過失により知らないで、原告の管理著作物を演奏したことにより原告の著作権を侵害したものであるから、これにより原告が被った損害を賠償すべき義務がある。











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