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確定判決の既判力(2)
「錦絵『東京開化』事件」
平成160928日大阪地方裁判所(平成16()6772 

 原告は、信用毀損による損害に関して、予備的に民法709条に基づくとの主張をしているので、この点について検討する。
 
後掲証拠によれば、次の事実が認められる。
 
原告は、被告を相手方として提起した当庁平成14()2522号損害賠償請求事件において、被告が本件単行本において原告所蔵の「東京開化」を複製利用しながらその所蔵先を「神奈川県立歴史博物館蔵」と記載したことについて、誤った紹介は原告に対する名誉を毀損する不法行為に該当するなどと主張し、前訴第一審は、平成141121日、被告の原告に対する不法行為の成立を肯定し、慰謝料として12万円、弁護士費用として3万円が相当であるとする一部認容判決を言い渡した。しかるに、前訴第二審(大阪高等裁判所平成14()3824号損害賠償請求控訴事件、平成15()516号同附帯控訴事件)は、平成15328日、本件単行本において原告所蔵の「東京開化」の所蔵先を誤記した行為が原告の名誉を毀損したと認めることはできないから、損害賠償の請求は理由がないとの判断をして、被告の附帯控訴に基づき前訴第一審原告勝訴部分を取り消した上でその部分の原告の請求を棄却するとともに、原告の控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。原告は更に上告受理申立をしたが、最高裁判所は、平成151023日、上告審として受理しないとの決定をし、これによって上記控訴審判決が確定した。
 以上の事実が認められる。
 
上記認定事実に基づき、前訴における原告の請求原因と、本訴における原告の請求原因を対比すると、確かに前訴においては名誉毀損行為であることを理由とする民法710条に基づく損害賠償請求権が、本件訴訟では信用毀損行為であることを理由とする民法709条に基づく損害賠償請求権が訴訟物となっているが、被告が本件単行本において原告所蔵の「東京開化」を「神奈川県立歴史博物館蔵」と誤って記載したことによって、我が国最大級の錦絵コレクターとしての原告の評価が毀損されるという損害を被ったことを理由として賠償請求をしている点で実質的に同一であるから、前訴と本訴とでは訴訟物が同じであるといわざるを得ない
 そうすると、原告の被告に対する、信用毀損を理由とする予備的請求は、前訴の確定判決の既判力により、棄却を免れない
 
なお、被告は、本件のすべての請求について、前訴の既判力に拘束される旨主張するが、前訴の訴訟物は、原告所蔵の「東京開化」の所有権あるいは名誉権の侵害を理由とする損害賠償請求権であるのに対し、本件訴訟におけるその他の訴訟物は、不正競争行為であることを理由とする不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求権、パブリシティ権侵害であることを理由とする民法703条に基づく不当利得返還請求権及び債権侵害であることを理由とする民法709条に基づく損害賠償請求権であるから、訴訟物が同じであるということはできず、被告の主張は失当である。











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