著作権重要判例要旨[トップに戻る]







クラブにおける生演奏の実質的な侵害主体
「クラブ無断生演奏事件」
平成170117日大阪地方裁判所(平成16()5707 

 ところで、飲食店における楽曲の演奏主体としての経営者がだれかを判断するためには、店舗の設置、設備の調達、従業員の雇用、従業員への営業上の指揮監督、営業許可の取得など経営の内容をなす行為の主体、及び営業による利益の帰属の主体がだれかを検討すべきであるが、その際には、名義のみならず、実質をも考慮する必要がある。そして、経営の内容をなす行為の相当程度の部分を分担し、営業による利益の分配に実質的にあずかっているならば、必ずしも、経営者として行うべきすべてのことを自らの名義によって行っていなくても、共同経営者と認定し得る場合があるというべきである。
 
被告Aは、平成1121日の開店以来、被告店舗にママとして在店し、従業員を指揮して営業を行い、被告店舗の金銭の出納を管理し、実際の営業活動を指揮、管理していたものであり、また、被告店舗の賃貸借契約の連帯保証人となり、被告店舗及び事務所に被告A名義の電話を設置するなど店舗の設置や設備の調達にも深くかかわっており、経営の内容をなす行為の相当程度の部分を分担していたものと認められる。また、被告Aは、被告Bから相当高額の給料の支払を受け、実質的に被告店舗の営業による利益の分配にもあずかっていたと認められる。
 したがって、被告Aは、単なる従業員ではなく、被告Bとともに被告店舗を経営する共同経営者であったと認めるのが相当である。被告Aの陳述書…の記述のうち、この認定に反する部分は、信用することができない。
 
…によれば、被告Bが平成11年度の税務申告をしていたことが認められ、…によれば、被告Bが、平成10228日、賃借人として被告店舗の賃貸借契約を締結したことが認められ、…によれば、被告Bが、平成11226日、被告店舗について食品衛生法上の営業許可を受けたことが認められ、前記認定のとおり、被告Aは、少なくとも平成13120日から同年620日までの間、被告Bから給料の支払を受けていた。
 
しかし、被告Bについては、被告店舗の従業員を指揮し、金銭の出納を管理するなどの実際の営業活動に関与していたことをうかがわせる証拠はなく、前記認定のとおり、これらの行為は、被告Aが行っていたものであるから、被告Aは、被告Bと、経営の内容をなす行為を分担し、共同して経営を行っていたものと認められる。また、被告Aの受けていた給料は相当高額であり、実質的に被告店舗の営業による利益の分配に当たると認められるから、給料の支給という形式が採られていたとしても、それによって、被告Aが共同経営者であったという認定が妨げられることはないというべきである。
 前記認定のとおり、被告Aは、平成311月ごろから、被告店舗所在地の近隣で「D」の屋号で飲食店を経営していたものであり、他方、前記のとおり、被告Aは、少なくとも平成1411日から被告店舗を単独で経営しているから、このことに照らしても、この間の平成1121日から平成131231日までについて、被告Aが被告Bと被告店舗を共同経営していたことは、自然なことというべきである。
 
[著作権侵害の成立について]
 
前記のとおり、被告らは、被告店舗における管理著作物の利用について原告の許諾を受けていなかったから、被告店舗において管理著作物を演奏することは、原告が管理著作物について有する著作権(演奏権)を侵害する。
 
…によれば、著作権管理事業者等の許諾を受けないで著作権の存続している音楽を飲食店において演奏等により利用することが著作権侵害を構成することは、一般に広く認識されているものと認められる。したがって、被告店舗において無許諾で管理著作物を演奏することによりその著作権を侵害することにつき、被告らには故意又は少なくとも過失があったものと認められる。
 
前記のとおり、被告Bは、平成1121日から平成131231日まで被告店舗を経営していたものであり、前記認定のとおり、被告Aは、同期間において、被告Bとともに被告店舗を経営する共同経営者であったから、同期間の被告店舗における管理著作物の著作権侵害行為は、被告Bと被告Aによる共同不法行為というべきである。
 
前記のとおり、被告Aは、平成1411日からは被告店舗を単独で経営しているから、同日以降の被告店舗における管理著作物の著作権侵害行為は、被告Aによる不法行為というべきである。











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