著作権重要判例要旨[トップに戻る]







将来の損害賠償請求を認めた事例
「クラブ無断生演奏事件」
平成170117日大阪地方裁判所(平成16()5707 

[参考:民事訴訟法135条(将来の給付の訴え]

将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。 


 前記のとおり、被告Bは、平成1121日から平成131231日まで被告店舗を経営していたものであり、前記認定のとおり、被告Aは、同期間において、被告Bとともに被告店舗を経営する共同経営者であったから、同期間の被告店舗における管理著作物の著作権侵害行為は、被告Bと被告Aによる共同不法行為というべきである。
 
前記のとおり、被告Aは、平成1411日からは被告店舗を単独で経営しているから、同日以降の被告店舗における管理著作物の著作権侵害行為は、被告Aによる不法行為というべきである。
 
(略)
 [将来給付請求の必要性について]
 
…によれば、原告の被告らに対する催告等の経緯に関して、次の事実が認められる。
 
原告は、被告店舗において、原告の許諾を受けることなく管理著作物が利用されていることを把握し、平成11812日、被告店舗宛に普通郵便で案内文書を送付し、被告店舗内における生演奏等について、原告の許諾を得て適法に管理著作物を利用するよう通知するとともに、音楽著作物利用許諾契約の締結に必要な申込書等手続書類一式を同封し、無許諾利用期間分の使用料相当額を清算し、音楽著作物利用許諾契約を至急締結するよう申し入れた。しかし、被告らから原告に対して、連絡はなかった。
 
その後、原告は、複数回にわたって被告店舗宛に督促文書を送付し、原告の許諾を得て適法に音楽を利用するよう求め、被告店舗に職員又は契約取扱委託員を派遣して、被告ら又は被告店舗の責任者との接触を度々試みたが、被告らは、これに応じなかった。
 
原告は、平成131029日、被告店舗の事務所に電話連絡し、応対したIと称する女性事務員に対し、音楽著作物利用許諾契約の重要性を説明した上で、被告店舗の経営者との面談の約束を求めたところ、Iから、「オーナーに確認の上折り返し電話連絡する。」との申し出があったが、その後もI又は被告らからの連絡はなかった。原告は、同年1120日、再度被告店舗の事務所に電話連絡した際、Iから、オーナーの名がBであることを聞いた。
 原告は、平成13123日、被告店舗の事務所に職員を派遣し、応対したIに対し、重ねて音楽著作物利用許諾契約の重要性を説明したところ、Iは、「本件は社長に伝えてある。社長は事務所には来ないので、これ以上ここに来てもらっても困る。」と返答したため、原告は、これ以上管理著作物の違法利用を看過できないことを指摘し、音楽著作物利用許諾契約を至急締結するよう被告Bへ伝言することを依頼した。
 原告は、平成1428日、被告Bの自宅宛に配達証明郵便及び普通郵便で、被告店舗宛に宅配便及び普通郵便で、被告店舗の事務所宛に配達証明郵便及び普通郵便で、いずれも督促文書を送付し、同文書記載の期日までに適法利用に係る手続を完了しない場合は、無許諾利用期間分について、原告との間で事前に利用許諾契約を締結した音楽の利用者が通常月々支払う割安な包括使用料の規定を適用せず、割高な損害金での清算が必要になることを通知し、改めて音楽著作物利用許諾契約を早急に締結するよう申し入れた。しかし、被告らからは連絡がなかった。
 
原告は、平成14319日、被告Bを相手方として民事調停を申し立てたが、被告Bは調停期日に出頭せず、同調停は、同年67日、不成立となった。
 
原告は、平成14731日、被告Aの自宅に職員を派遣したが、同人が不在であったため、同職員は、同年87日までに申込書を提出するか、原告宛に至急電話連絡するよう記載した書面を、申込書類や民事調停不成立証明書等に添付して郵便受けに投函したが、被告らから連絡はなかった。
 
原告は、平成14101日、被告らの各自宅宛に、配達証明郵便及び普通郵便で、被告店舗及び事務所宛に宅配便で、いずれも警告書を送付し、被告らに対し、損害金の支払と今後の音楽著作物利用許諾契約の締結を直ちに行うよう通知するとともに、同文書記載の期日までに手続を完了しない場合は、相応の措置をもって対応することを伝えた。
 前記認定のとおり、被告らは、原告による再三の催告等に応じなかったものであり、前記認定のとおり、被告Aは、仮処分決定、仮処分の執行、仮処分を認可する旨の仮処分異議決定が行われたにもかかわらず、被告店舗において、管理著作物の著作権侵害行為を継続している。そして、弁論の全趣旨によれば、管理著作物の演奏は、飲食店(クラブ)としての雰囲気を作るために必要性が高く、その営業と密接に結びついているものと認められ、被告店舗の営業が続けられる限り、反復継続される性質の行為であると認められる。したがって、被告Aは、今後も、原告の許諾を受けずに被告店舗における管理著作物の利用を継続するおそれが強いものと認められ、将来の使用料相当額の損害賠償についても、予めその請求をする必要があると認められる
 
(略)
 
前記認定のとおり、被告Aは、今後も、原告の許諾を受けずに被告店舗における管理著作物の利用を継続するおそれが強いものと認められ、将来の使用料相当額の損害賠償についても、予めその請求をする必要がある。したがって、原告は、著作権侵害による不法行為に基づく損害賠償として、被告Aに対し、平成1651日から、被告店舗において管理著作物の演奏を停止するまで、毎月末日限り、1か月当たり191520円(使用料相当額)の割合による金員を支払うよう求めることができる。











相談してみる

ホームに戻る