著作権重要判例要旨[トップに戻る]







特定の流派の家元であることの確認を求めた事例
「華道・煎茶道流派事件平成180920日大阪高等裁判所(平成17()3088 

 [1審原告は本件流派の家元たる地位にあるかについて]
 一般に,家元制度の基本構造は,@固有の技能,芸能等の型を保存し,技術水準を保持することを存立の基礎とし,A師匠と弟子との主従関係(師弟関係)の連鎖によってピラミッド型の階層集団(家元を頂点とする技芸集団)を構成すること,B家元が,対内的には当該技芸集団を統率し,対外的には当該技芸集団を代表することにあるものと解される。そうすると,家元制度を採用する流派における家元は,対内的には当該流派を統率する権限を有し,対外的には当該流派を代表する権限を有するものであるから,家元たる地位は法律上の地位であるというのが相当である。
 
ところで,前提事実及び上記の認定事実によれば,@本件流派は家元制度がとられている華道及び煎茶道の流派であるところ,本件流派では,創流以来,家元の継承(選任方法)について何らの成文の規則等を設けないまま,初代家元であるCから二代目家元であるDへの継承,二代目から三代目家元であるEへの継承,三代目から四代目家元である1審原告への継承は,いずれも先代の家元が次の家元を実質的に直接選任(指名)し,これを本件流派の内部的手続に従って高弟が形式的に承認するという形で行われてきたこと,Aこのようにして,1審原告は,平成1511日,本件流派の四代目家元たる地位に就任し,1審被告が発行人である本件流派(華道専正池坊)の機関誌「花泉」にも,上記四代目家元就任に係る記事が掲載されたこと,Bその後,1審原告は,本件事務局の経理状態について調査した結果,不正経理を疑い,1審被告に本件事務局を任すことはできないと考え,本件事務局を1審被告の下(北九州市)から1審原告の下(神戸市)に移転する旨を表明し,さらにこれに反対する1審被告に対し,本件流派に係る業務委任を一切解消する旨の通告をしたこと,Cこれに対し,本件事務局長であった1審被告は,四代目家元である1審原告から何らの了解を得ることのないまま,同年125日,専正池坊緊急役員会を開催し,同役員会においては,出席者の賛成多数により,本件流派の家元選出規約を制定した上で,1審原告が四代目家元を辞任したことを前提に,1審被告が新家元に立候補して,1審被告を本件流派の五代目家元に選出したこと,Dそして,1審被告は,1審原告は本件流派の「前家元」であり,現在は「家元」ではない旨主張して,1審原告が本件流派の家元たる地位にあることを争っていることが認められる。
 しかしながら,上記認定のとおり,四代目家元である1審原告は,本件紛争発生当時,本件事務局長であった1審被告に対する業務委任を解消する旨の通告をし,本件事務局を神戸市に移転する旨を表明しただけであり,本件全証拠によっても,1審原告が本件流派の家元を辞任する旨の意思表示をし,本件流派を離れて独立したことを認めるに足りないから,1審原告の四代目家元辞任,独立を前提とする上記役員会における五代目家元選出は,その前提を欠いており無効である
 
したがって,1審原告が本件流派の家元であることの確認請求は理由がある。











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