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パブリシティ権侵害による損害額の立証に対する著作権法114条類推適用の可否
「ぺ・ヨンジュン写真掲載事件」
平成221021日東京地方裁判所(平成21()4331 

【コメント】本件は、著名な韓国人俳優である原告が、本件雑誌(『ぺ・ヨンジュン来日特報 It's KOREAL7月号増刊』)の、それぞれ、出版社、編集発行人(出版社の代表取締役)及び編集者である被告らに対し、原告の写真等が多数掲載された本件雑誌を出版、販売した被告らの行為は原告のいわゆる「パブリシティ権」を侵害するものであると主張して、不法行為に基づく損害賠償金及びその遅延損害金の支払を求めた事案です。 

 [原告の損害について]
(1) 著作権法1142項又は同条3項の類推適用の可否について
 原告は,パブリシティ権侵害による損害額の立証については,著作権法1142項及び同条3項を類推適用すべきであると主張する。
 しかしながら,前記のとおり,パブリシティ権とは,人格権に由来するものであって,同項の適用される著作財産権とは性質を異にするものである。
 したがって,本件における原告の損害を算定するに当たって,著作権法1142項及び3項を類推適用することはできないというべきであり,原告の主張を採用することはできない。
 被告らが原告に無断で本件雑誌を出版,販売したことにより原告が被った損害額は,原告が本件雑誌の出版に当たり,原告の氏名及び原告写真の使用を許諾した場合に,原告が通常受領すべき金員に相当する額と解するのが相当である。
(2) 原告の損害
 …によれば,本件雑誌の単価は580円(消費税込み。なお,消費税分を除いた本体価格は552円。)であり,その販売部数は41275冊であることが認められる。これに対し,原告は,本件雑誌の販売部数は少なくとも59000冊であると主張するものの,本件雑誌が被告らの主張する販売部数(41275冊)以上に販売されたことを認めるに足りる証拠はない。
 また,…によれば,原告の韓国におけるマネジメント会社である韓国法人キーイーストは,平成20730日,日本法人であるアイピーフォー株式会社との間で,原告の名称及び肖像写真等を使用したカレンダー商品(壁掛けカレンダー,卓上カレンダー)を日本において生産,販売及び販売促進活動を行うことを非独占的に許諾すること,その許諾料を壁掛けカレンダー1点につき●(省略)●,卓上カレンダー1点につき●(省略)●とする旨を合意したことが認められる。
 上記認定の本件雑誌の単価,販売部数,原告が原告の名称及び肖像写真等を使用したカレンダーを日本において生産,販売等することを許諾した際の許諾料のほか,前記で認定した原告の氏名,肖像の有する顧客吸引力の強さ,本件雑誌における原告の氏名,肖像の使用態様,本件雑誌中でパブリシティ権を侵害する部分の割合等を総合的に考慮すると,本件雑誌の出版,販売による原告の損害額を400万円と認めるのが相当である。
(3) 原告の慰謝料
 原告は,被告らが本件雑誌を原告に無断で出版・販売したことにより,原告肖像の利用の許諾に係る原告の自由が侵害され,精神的苦痛を受けたと主張する。
 本件雑誌の出版,販売により原告のパブリシティ権が侵害されたと認められることについては,前記に説示したとおりであり,かかる不法行為により原告に生じた損害については,上記(2)のとおりであると認められる。また,本件雑誌における原告写真の掲載態様は前記で認定したとおりであり,本件雑誌に原告写真が掲載されたことにより,原告の俳優としての評価等が低下したとは認められず,本件証拠を精査しても,本件雑誌の出版,販売により,原告において,前記財産的損害に対する損害の賠償だけでは償い難いほどの精神的苦痛を被ったと認めるに足りる証拠はない。
 したがって,原告の主張は理由がない。
(4) 弁護士費用
 弁護士費用については,本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は40万円と認めるのが相当である。
(5) 小括
 以上のとおり,原告の被告らに対する損害賠償請求は,被告らに対し連帯して440万円及びこれに対する不法行為の日又は不法行為の後である平成20618日(遅くとも本件雑誌が発行された日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。












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