著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ウェブサイト上の住宅ローン金利比較表の編集著作物性
「住宅ローン金利比較表事件」
平成221221日東京地方裁判所(平成22()12322 

 「編集著作物」としての著作物性の有無
 原告は,本件図表は,素材である「全国の金融機関の住宅ローン金利」の選択又は配列によって創作性を有する「編集著作物」(著作権法121項)である旨主張する。
 そこで検討するに,本件図表は,各金融機関が提供する住宅ローン商品の金利情報について,全国又は各地域別の金融機関ごとに,その商品名,変動金利の数値,固定金利(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の固定期間別)の数値を表示して金利を対比した表及びそれらの金利の低い順に昇降順に並べて対比した表であり,全国の金融機関の全てを対象に,その提供する全ての住宅ローン商品の金利情報を素材として選択したものであり,そのような選択はありふれたものであるから,素材の選択によって創作性を認めることはできない
 また,本件図表における素材の配列は,別紙B記載のように,左から,「金融機関名(店舗情報へリンク)」,「キャンペーン商品名等(各金融機関の商品ページへリンク)」,「変動金利型年金利(%)」及び「固定金利型固定期間別年金利(%)」(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の固定期間別)の順に配列したものであり,この種の住宅ローン金利の対比表に多くみられたありふれた配列であり,また,本件図表を構成する図表の中には,各地域ごとの各金融機関の住宅ローン商品を金利の低い順に昇降順に配列したものがあるが,このように金利の低い順に住宅ローン商品を配列することもありふれたものであるから,素材の配列によっても創作性を認めることはできない
 したがって,本件図表が編集著作物に当たるとの原告の主張は,理由がない。
 これに対し原告は,本件図表は,@原告独自の各都道府県ごとや各地域ごと又は全国で利用できる住宅ローンを,A変動金利と固定金利の各固定期間である1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の各区分ごとに,B利用者が希望する各区分項目ごとに,順次,低金利の順に並び替えて見られるようにするという原告の目的と方針に従って,各項目ごとに低金利の順での並び替えをし,Cその並び替え後の配列は,左から,金融機関名,商品名,変動金利,固定金利の各固定期間である1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の順に配列を確定しているという点で,住宅ローン金利の素材の選択及び配列によって創作性を有するものである旨主張する。
 しかし,前記で認定したとおり,全国の金融機関の住宅ローン商品について,金融機関名,商品名,変動金利,固定金利の各固定期間(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年)の順に配列することはありふれたものであって,表現上の創作性を認めることはできない。また,原告のいう「並び替え」は,原告ウェブサイトの機能であって,本件図表を構成する各図表そのものの表現に相当するものではないから,本件図表が編集著作物としての創作性を有することを基礎づけることはできない。
 したがって,原告の上記主張は採用することができない。
 「データベースの著作物」としての著作物性の有無
 原告は,本件図表は,@全国の金融機関の住宅ローンの金利情報等に関する数値及び図形の情報の集合物であって,A電子計算機を用いて,各都道府県ごとや各地域ごとに利用できる住宅ローンと全国の住宅ローンを選択抽出及び検索をして,Bその選択抽出及び検索をした住宅ローンの金利情報等を,変動金利と固定金利に,固定金利については,さらにその各固定期間である1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の各項目ごとに電子計算機が選択区分をし,C利用者がこれらの区分された各項目をクリックすることによって,電子計算機が各項目ごとの金利について,順次,低金利の順に並び替え,Dこの並び替え後の図形は,左から,金融機関名,商品名,変動金利,固定金利の各固定期間である1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の順に配列を確定し,その各項目ごとに金利を低金利の順に並び替えて見られるという体系的な構成がされたデータベースであって,情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものであるから,「データベースの著作物」(著作権法12条の21項)である旨主張する。
 そこで検討するに,原告ウェブサイトにおいては,本件図表を構成する各図表の「変動金利」及び「固定金利」の数値を金利の低い順に並べ替えて,表示することができることからすれば,本件図表を構成する各図表に表示される情報については,何らかのデータベースが存在することがうかがわれるが,そのデータ構造についての主張立証はない。もっとも,原告は,本件図表を構成する各図表の複製物を証拠として提出しているが,上記各図表の記載事項から本件図表に係るデータベースのデータ構造そのものを把握することはできない。そうすると,原告の主張の前提となる本件図表のデータベースがいかなるものであるのか不明であるから,情報の体系的な構成によって創作性を有するものと認めることはできない
 また,原告が主張する本件図表のデータベースにおいて選択された情報は,「全国の金融機関の住宅ローンの金利情報等に関する数値及び図形の情報」であって,全国の金融機関の全てを対象に,その提供する全ての住宅ローン商品の金利情報を素材として選択したものであり,そのような選択はありふれたものであるから,情報の選択によって創作性を有するものと認めることはできない
 したがって,原告の上記主張は採用することができない。

 【※控訴審(平成230419日知的財産高等裁判所(平成23()10005)も同旨】











相談してみる

ホームに戻る