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複製権又は翻案権侵害の判断基準(12)
「データ復旧サービス広告用文章事件」平成221210日東京地方裁判所(平成20()27432)/平成230526日知的財産高等裁判所(平成23()10006 

【コメント】本件は、原告が、インターネット上に開設するウェブサイトにデータ復旧サービスに関する文章を掲載した被告の行為は、主位的に、①原告が創作し、そのウェブサイトに掲載したデータ復旧サービスに関するウェブページのコンテンツ又は広告用文章を無断で複製又は翻案したものであって、原告の著作権及び著作者人格権を侵害する不法行為に当たると主張して、被告に対し、損害賠償金の支払いなどを求めるとともに、予備的に、②一般不法行為に当たると主張して、被告に対し、上記①と同額の損害賠償金の支払いなどを求めた事案です。 

 【原審】

 著作権侵害の成否について
(1) 原告は,本件コンテンツに係る著作権の侵害を主張するが,被告による著作権侵害はその大部分が言語表現である原告文章に関するものであるとして,原告文章に係る著作権の被侵害部分のほかに,被告が本件コンテンツに係るどの部分の著作権を侵害したのかを具体的に主張しないから,本件コンテンツに係る著作権侵害の成否を判断することはできない。
 (略)
 そこで,以下,原告文章に係る著作権侵害の主張について検討する。
(2) 原告は,別紙文章対比表の被告文章欄記載の各下線部分は,対応する同表の原告文章欄記載の各下線部分と表現上の同一性又は類似性を有し,しかも,被告文章は原告文章に依拠して作成されたものであるから,上記被告文章の各下線部分は,上記原告文章の各下線部分を複製又は翻案したものであると主張する。
 著作物の複製(著作権法2115号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを有形的に再製することをいい,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきである。また,言語の著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的な表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
 しかし,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法211号参照),既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製にも翻案にも当たらないと解するのが相当である(最高裁平成13628日第一小法廷判決参照)。
 したがって,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である。
 
そして,「創作的に」表現されたというためには,作成者の何らかの個性が発揮されていれば足り,厳密な意味で,独創性が発揮されたものであることまでは必要ないが,文章がごく短いものであったり,表現形式に制約があるため他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合は,作成者の個性が現れているとはいえないため,創作的な表現ということはできない
 このような観点から,原告が複製又は翻案に当たると主張する別紙文章対比表の原告文章欄記載の各下線部分とこれに対応する同表の被告文章欄記載の各下線部分との表現上の同一性を有する部分について,創作的な表現といえるか否かを判断する。
 [] 構成や記述順序について
 原告は,別紙文章対比表の原告文章欄記載の下線部分を一まとまりとした全体的な構成,記載順序,配列,小見出し等の具体的な表現において,被告文章は原告文章と表現上の同一性を有しており複製に当たると主張する。
 確かに,原告文章と被告文章とは,別紙文章対比表のとおり,全体的な構成,記載の順序,小見出しを有することにおいて共通するといえる。
 しかし,別紙文章対比表の原告文章欄記載の各下線部分は,当時,広く一般的には知られていなかったデータ復旧サービスについての一般消費者向けの広告用文章として,データ復旧サービスの基本的な内容を説明するものである。このような一般消費者向けの広告用文章においては,広告の対象となる商品やサービスを分かりやすく説明するため,平易で簡潔な表現を用いることや,各項目ごとに端的な小見出しを付すること,説明の対象となるサービスとはどのようなものか,どのような場合に利用するものなのか,異なる商品やサービスとの相違点は何かをこのような構成,順序で記載することなどは,広告用文章で広く用いられている一般的な表現手法といえ,原告主張の上記の全体的な表現に作成者の個性が現れているということはできない
 したがって,原告文章と被告文章は表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№1について
 原告は,別紙文章対比表の№1の被告文章欄記載の下線部分は,対応する原告文章欄記載の下線部分の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章1「データ復旧って何?」と被告文章1「データ復旧技術サービスとは?」は,原告及び被告が業として行っているデータ復旧サービスの内容を説明する文章の見出しとして,データ復旧サービスとはどのようなものなのかを問う疑問文である点で共通するものといえるが,原告文章1は,文章自体がごく短いものであり,また,データ復旧サービスとはどのようなものなのかを問う疑問文の表現としては平凡かつありふれたものといえるから,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない
 したがって,原告文章1と被告文章1は,表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№2①について
 原告は,被告文章2①は,対応する原告文章2①の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章2①「どんな時に利用されるの?」と被告文章2①「どのようなときに利用するサービスなのか?」は,データ復旧サービスはどのような時に利用するものなのかを説明する文章の見出しとして,どのような時に利用するかを問う疑問文である点で共通するものといえるが,原告文章2①は,文章自体がごく短いものであり,また,どのような時に利用するかを問う疑問文の表現としては平凡かつありふれたものといえるから,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない
 したがって,原告文章2①と被告文章2①は,表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№2②について
 原告は,被告文章2②は,対応する原告文章2②の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章2②「・バックアップを取っていない」,「・バックアップを戻せない」と被告文章2②「・バックアップを取っていない」,「・バックアップからシステムを復帰できない」は,データ復旧サービスを利用すべき場合の具体例として,バックアップを取っていない場合を記載する点で共通するものといえるが,原告文章2②は,文章自体がごく短いものであり,また,バックアップを取っていないことの表現として平凡かつありふれたものであるから,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない
 したがって,原告文章2②と被告文章2②は,表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№2③について
 原告は,被告文章2③は,対応する原告文章2③の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章2③「このような非常事態に遭遇した場合の有効な回復策の一つとして,データ復旧サービスの利用を検討します。」と被告文章2③「このような非常事態に遭遇した場合の有効な回復策の一つとして,データ復旧技術サービスの利用をご検討ください。」は,その前の部分で挙げた非常事態に遭遇した場合に,有効な回復策の一つとしてデータ復旧サービスの利用を検討することを記載した点で共通するものといえるが,原告文章2③は,文章自体がごく短いものであり,また,問題が生じた場合にその対応策を検討することを一般的に使用されるありふれた言葉で表現したものにすぎず,表現上の格別な工夫があるということはできないため,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない
 したがって,原告文章2③と被告文章2③は,表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№3①について
 原告は,被告文章3①は,対応する原告文章3①の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章3①「修理と何が違うの」と被告文章3①「データ復旧と修理サービスとの違いは?」は,データ復旧サービスとパソコン等の修理との相違を説明する文章の見出しとして,修理とは何が違うのかを問う疑問文である点で共通するものといえるが,原告文章3①は,文章自体がごく短いものであり,また,相違点を問う疑問文の表現としては平凡かつありふれたものといえるから,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない。また,別紙文章対比表の№3の原告文章欄記載の文章は,データ復旧サービスをパソコンの修理と比較して説明する内容の文章であるが,データ復旧サービスをパソコンの修理と比較して説明するというアイデア自体は著作権法上保護されるものではない
 したがって,原告文章3①と被告文章3①は,表現上の創作性がない部分及びアイデアにおいて同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№3②について
 原告は,被告文章3②は,対応する原告文章3②の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章3②「パソコン修理/=パソコンの機能を取り戻すことに主眼を置きます。/たとえばハードディスクが故障した場合,新しいものに交換すればパソコンはその機能を取り戻します。しかし,新しいものに交換すれば当然データは戻りません。/データは消えてもパソコンは直る。これが修理の基本的なスタンスです。」(判決注:/は改行を示すため,判決において付加した。以下同様。)と被告文章3②「1.パソコン・機器等の修理/パソコンの動作的な機能を取り戻すことに主眼を置きます。/例えばハードディスクが故障した場合,新しいものに交換すればパソコンはその機能を取り戻します。しかし,新しいものに交換すれば当然データは戻りません。/データは消えてもパソコン・機器は元に戻ります。これが修理サービスの基本的な考え方です。」は,パソコンの修理はパソコンの機能を取り戻すことに主眼を置くこと,ハードディスクが故障した場合に新しいものに交換すればパソコンは機能を取り戻すが当然データは戻らないという具体例を挙げて,データは消えてもパソコンは直るということがパソコン修理の基本的な立場であることをこの順序で記載する点で共通するものといえる。
 しかし,データ復旧と比較してパソコンの修理を説明する場合には,データが保存されているハードディスクの故障を具体例として挙げること自体は当然のことというべきであり,また,ハードディスクを交換すればパソコンの機能は回復するが保存されていたデータが喪失することも当然の事実であって,その表現形式は制約が大きいと認められ,原告文章3②は,内容,表現,記述の順序のいずれにおいても,パソコンの修理はパソコンの機能を取り戻すことに主眼を置くこと,ハードディスクが故障した場合に交換すればパソコンは機能を取り戻すがデータは戻らないこと,データは消えてもパソコンは直ることがパソコン修理の基本であることについて,一般的に使用されるありふれた言葉で表現したものというほかなく,表現上の格別な工夫があるということはできないから,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない。また,上記[]で説示したように,データ復旧サービスをパソコンの修理と比較して説明するというアイデア自体は著作権法上保護されるものではない。
 したがって,原告文章3②と被告文章3②は,表現上の創作性がない部分及びアイデアにおいて同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№3③について
 原告は,被告文章3③は,対応する原告文章3③の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章3③「データ復旧/=データを取り戻すことに主眼を置きます。/データを取り戻すためなら,分解や破壊といった修理とはむしろ逆になることも行います。たとえるなら」と被告文章3③「2.データ復旧技術サービスの場合/データを取り戻すことに主眼を置きます。/データを取り戻すためなら,分解や破壊といった修理とは逆行為になることも行います。/例えば」は,データ復旧はデータを取り戻すことに主眼を置き,データを取り戻すためなら分解や破壊といった修理とは逆のことも行うことをこの順序で記載する点で共通するものといえるが,原告文章3③は,内容,表現,記述の順序のいずれにおいても,データ復旧ではデータを取り戻すことに主眼を置くこと,修理とは異なり分解や破壊をすることもあることについて,一般的に使用されるありふれた言葉で表現したものにすぎず,表現上の格別な工夫があるということはできず,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない。また,上記[]で説示したように,データ復旧サービスをパソコンの修理と比較して説明するというアイデア自体は著作権法上保護されるものでなない。
 したがって,原告文章3③と被告文章3③は,表現上の創作性がない部分及びアイデアにおいて同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 別紙文章対比表の№3④について
 原告は,被告文章3④は,対応する原告文章3④の複製又は翻案に当たると主張する。
 原告文章3④「パソコンそのものはそれほど高価なものではなくなりました。しかし,パソコンに保存されているデータは一段と重要性を増しています。/パソコンに事故が起こった場合には,パソコンが大切なのか,データが大切なのかをよく見極めることが大切です。」と被告文章3④「パソコン・機器そのものはそれほど高価なものではなくなりました。しかし,パソコンに保存されているデータは」,「一段と重要性を増しています。/パソコンに事故が起こった場合には,パソコンが大切なのか,データが大切なのかをよく見極めることが大切です。」は,パソコンそのものはそれほど高価なものではなくなったが,パソコンに保存されているデータは一段と重要性を増していること,パソコンに事故が起こった場合には,パソコンが大切なのかデータが大切なのかをよく見極めることが大切であることをこの順序で記載する点で共通するものといえるが,原告文章3④は,内容,表現,記述の順序のいずれにおいても,パソコンはそれほど高価なものではなくなりパソコンに保存されたデータの重要性が増加していること,パソコンに問題が生じた場合にパソコンと保存されたデータのどちらが大切なのかを見極めることが大切であることについて,一般的に使用されるありふれた言葉で表現したものであって,表現上の格別な工夫があるということはできず,当該部分に作成者の個性が現れているということはできない。また,上記[]で説示したように,データ復旧サービスをパソコンの修理と比較して説明するというアイデア自体は著作権法上保護されるものではない。
 したがって,原告文章3④と被告文章3④は,表現上の創作性がない部分及びアイデアにおいて同一性を有するにすぎないから,上記共通点をもって複製又は翻案に該当するということはできない。
 [] 以上のとおり,原告主張の複製権侵害及び翻案権侵害はいずれもこれを認めることはできない。また,これを前提とする原告主張の公衆送信権侵害,二次的著作物に係る公衆送信権侵害も認めることはできない。
(3) 以上検討したところによれば,原告の著作権侵害の不法行為に基づく請求は,いずれも理由がない。

 【控訴審】

 著作権侵害の成否について
 [複製権又は翻案権侵害の判断について]
 著作物の複製(著作権法21条,2115号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう(最高裁昭和5397日第一小法廷判決参照)。ここで,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきであるが,同一性の程度については,完全に同一である場合のみではなく,多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない,すなわち実質的に同一である場合も含むと解すべきである。また,著作物の翻案(同法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
 しかるところ,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(同法211号),既存の著作物に依拠して創作された著作物が思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製にも翻案にも当たらないものと解するのが相当である(最高裁平成13628日第一小法廷判決参照)。
 このように,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である(同法211号)。
 そして,「創作的」に表現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが,他方,文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,筆者の個性が表現されたものとはいえないから,創作的な表現であるということはできない
 この点について,控訴人は,表現が「平凡かつありふれたもの」であったとしても,新しい知見に基づく表現である場合や,表現に際し,複雑な事項を一般人が理解しやすいように論理を整理し,取り上げるべき事項を取捨選択し,一定の観点から配列し,平易な言葉を選択し,表現するという一連の作業がされている場合には,その作業の過程において作者の相当の精神的活動が行われているのであるから,控訴人文章のように,当時,広く一般的には知られていなかったデータ復旧サービスについて,控訴人の創意工夫のもとに表現されたものについては,創作性が認められると主張する。
 しかしながら,著作権法は,あくまで表現をその保護の対象とするものであるから,「新しい知見」であるか否かを問わず,単なる事実や思想,アイデアを保護するものではない。データ復旧サービスに関する知見が「新しい知見」であったとしても,当該知見に関する単なる事実や思想等について,ありふれた表現で表現するにすぎない場合や,一般的に使用されるありふれた言葉を選択し,組み合わせたにすぎない場合には,その「選択」と「組合せ」に創作性を認めることはできない
 そして,控訴人代表者が控訴人文章を作成する際,取り上げるべき事項を取捨選択し,一定の観点から配列するなどの創意工夫を行ったとしても,編集著作物の要件を満たす場合は格別として,そのような作業過程を経たことをもって,その成果物について,直ちに創作性を認めることができないことも明らかである。
 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
 (略)
 以上からすると,被控訴人文章…が,控訴人文章…の複製又は翻案に当たるものということはできない。
 この点について,控訴人は,「創作性」とは,「ありふれた表現」の「選択」と「組合せ」であるから,著作物を殊更細分化した上で,各要素ないし表現について別個独立にそれぞれ創作性を判断すると,個々の表現が「ありふれたもの」となることは必然であると主張する。
 しかしながら,著作物全体について創作性が認められる場合であっても,その中の「ありふれた表現」についてのみ共通する場合においては,複製権侵害又は翻案権侵害を認めることはできない。本件においては,控訴人自らが,原判決別紙文章対比表記載のとおり,控訴人文章と被控訴人文章について,複製権又は翻案権を侵害すると主張する箇所を特定したものであるところ,前記のとおり,これらには表現上の格別な工夫がされているわけではなく,控訴人文章と被控訴人文章とは,表現それ自体でない部分又は表現上の創作性のない部分において同一性を有するにすぎないから,複製又は翻案に当たるものではない。
 また,控訴人は,仮に表現上の制約があり,表現に選択の幅が小さい場合であっても,他に異なる表現があるにもかかわらず,同一性を有する表現が一定以上の分量にわたる場合には,複製権侵害に当たるというべきであるとも主張する。
 しかしながら,控訴人文章と被控訴人文章との間には,前記のとおり,見出しなどのごく短い文章やありふれた表現が一致する文章が18文程度散在するにすぎず,控訴人主張のように同一性を有する表現が一定以上の分量にわたる場合とはいえないから,控訴人文章と被控訴人文章とが,実質的に同一であるということはできないことは明らかである。
 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
 
以上のとおり,控訴人主張の本件コンテンツ及び控訴人文章の複製権侵害及び翻案権侵害はいずれもこれを認めることはできない。











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