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出版権設定の有無が問題となった事例
「『生命の實相』復刻版事件」平成230304日東京地方裁判所(平成21()6368等) 

【コメント】本件「第3事件」は、被告日本教文社が、「本件Bの各書籍」について、原告社会事業団との間の出版契約に基づいて出版権の設定を受けたのに、原告社会事業団及び被告光明思想社が、被告日本教文社に無断で、本件Bの書籍31ないし34について出版及び販売を行い、本件Bの書籍1ないし15について出版を行うおそれがあるなどと主張して、原告社会事業団に対し、被告日本教文社が本件Bの各書籍の出版権を有することの確認を、原告社会事業団及び被告光明思想社に対し、著作権法1121項に基づき、本件Bの書籍1ないし1531ないし34の出版等の差止めを求めた事案です。 

 3事件について
(1) 本件Bの各書籍についての出版権の設定の有無
ア 被告日本教文社,原告生長の家及び原告社会事業団は,昭和63322日付け本件確認書が作成された時期と同時期に,亡Aが行っていた本件確認書の「著作物の表示」のリストに記載された各書籍の出版に関する指揮・監督を,原告生長の家が全面的に引き継ぎ,爾後の出版については原告生長の家が一元的に管理すること,被告日本教文社は原告生長の家の指示の下にその出版を行うこと,原告社会事業団は,上記各書籍の出版によって発生する著作権収入を取得し,これを基本財産として社会福祉事業を行うこと,上記各書籍の出版はすべて被告日本教文社において行うことを内容とする合意(本件合意A)をし,被告日本教文社と原告社会事業団の代理人原告生長の家は,本件合意Aに基づいて,別紙3記載の「契約締結日」欄記載の日に,本件Bの書籍1ないし3032について,原告社会事業団が被告日本教文社に独占的排他的な出版権を設定し,被告日本教文社が原告社会事業団に対し定価の10%の印税を支払う旨の出版使用許諾契約(本件各出版使用許諾契約)を締結した旨主張する。
 しかしながら,原告生長の家の主張は,以下のとおり理由がない。
 まず,被告日本教文社主張の本件合意Aの事実を認めるに足りる証拠はない。
 次に,…によれば,本件Bの書籍1ないし3032について各出版許諾契約書を作成して使用許諾契約を締結したことが認められる。
 しかし,上記各使用許諾契約における許諾の内容が独占的排他的な出版権を設定するものであることを認めるに足りる証拠はない。かえって,上記各出版使用許諾契約に係る契約書1条に,「甲は,乙に対し,この契約の表記の記載事項と約款に従い,本著作物に係る著作権を出版使用することを,著作権法第63条に基づき許諾する。」との規定があり,同規定中に「著作権法63条に基づき」と明示されているとおり,上記各使用許諾契約における許諾は,著作権法79条の出版権を設定する内容のものではなく,同法63条に基づく利用許諾に過ぎないというべきであるから,独占的排他的なものであるとはいえない
 したがって,本件Bの書籍1ないし3032について独占的排他的な出版権の設定を受けたとの被告日本教文社の主張は採用することができない。
 以上によれば,被告日本教文社の本件Bの書籍1ないし3032に関する出版権確認請求及び出版等の差止請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
イ 被告日本教文社は,原告社会事業団と被告日本教文社は,昭和49131日,昭和49年契約書をもって,本件Bの書籍3133及び34について,原告社会事業団が被告日本教文社に対し,独占的排他的使用権(出版権)を設定する旨の著作権使用(出版)契約を締結した旨主張する。
 原告社会事業団と被告日本教文社は,昭和49131日,昭和49年契約書をもって,原告社会事業団が被告日本教文社に対し原告社会事業団が著作権を有する添付一覧表に掲記された著作物を出版するための独占的排他的使用権を設定し,原告社会事業団が被告日本教文社に対し出版時に定価の10%を印税として支払う旨の契約を締結したことは,前記認定のとおりである。
 そして,本件Bの書籍3133及び34については,昭和49年契約書の添付一覧表の「書名」欄に同名の書籍がそれぞれ記載されていることからすれば,被告日本教文社は,本件昭和49年契約に基づいて,本件Bの書籍3133及び34について独占的排他的な出版権を取得したものと認められる。
 原告社会事業団は,本件昭和49年契約の債務不履行による解約の主張をしているので,更に進んで判断する。
(2) 解約の成否
ア 被告日本教文社は,本件昭和49年契約に基づき,原告社会事業団に対し,本件@の書籍1の未払印税として合計1540万円の支払義務を負っていたことは,前記認定のとおりである。
 …によれば,@昭和49年契約書の約款12条は,「(権利者よりの解約申入れ)」との見出しの下に,「その他使用者がこの契約上の義務を履行しない場合に於いて権利者が一定の期間を定めて履行を催告し,その期間内に使用者が履行しないとき」は,権利者は,「この契約の効力を将来に向かって失わしめることができる」旨規定していること,A原告社会事業団は,平成21114日到達の内容証明郵便をもって,被告日本教文社に対し,昭和49年契約書の約款12条の規定に基づき,2週間以内に本件@の書籍1の印税の未払額を支払うよう催告するとともに,期限までに支払がないときは,本件昭和49年契約を将来に向かって解約する旨の意思表示をしたこと,B被告日本教文社は,上記期限である平成21128日までに本件@の書籍1の印税の未払額を原告社会事業団に支払わなかったことが認められる。
 上記認定事実によれば,本件昭和49年契約は,原告社会事業団の解約により催告期限の翌日である平成21129日以降効力を失ったものというべきである。
イ 以上によれば,被告日本教文社は,本件Bの書籍3133及び34について本件昭和49年契約に基づき独占的排他的な出版権を有するものとはいえない。
 したがって,被告日本教文社の本件Bの書籍3133及び34に関する出版権確認請求及び出版等の差止請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
(3) まとめ
 
以上のとおり,被告日本教文社(第3事件原告)の請求は,いずれも理由がない。











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