著作権重要判例要旨[トップに戻る]







出版権設定契約における印税請求権の範囲が問題となった事例
「『生命の實相』復刻版事件」平成230304日東京地方裁判所(平成21()6368等) 

 本件@の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
ア 原告社会事業団は,原告社会事業団と被告日本教文社は,昭和49131日,原告社会事業団が被告日本教文社に対し原告社会事業団が著作権を有する本件@の各書籍を含む著作物を出版するための独占的排他的使用権を設定し,原告社会事業団が被告日本教文社に対し出版時に定価の10%を印税として支払う旨の著作権使用(出版)契約(本件昭和49年契約)を締結し,被告日本教文社は,別紙1及び2のとおり,本件@の各書籍の書籍を出版したから,本件昭和49年契約に基づいて,原告社会事業団に対し,別紙1及び2の「未払額」欄記載の印税の支払義務を負う旨主張する。
 そこで検討するに,…を総合すれば,@原告社会事業団と被告日本教文社は,昭和49131日,「著作者名」を亡A,「権利者」を原告社会事業団,「使用者」を被告日本教文社とし,「著作者名」及び「題名」をもって表示せられる著作物を出版するために,当該著作物を使用することを許諾する旨の「著作権使用(出版)契約書」と題する契約書(昭和49年契約書)に調印したこと,A昭和49年契約書には,「権利者」は,「著作者名」及び「題名」をもって表示せられる著作物を出版するために,「使用者」に限って,当該著作物を使用することを許諾する旨の条項(約款1条),「使用者がこの契約に基づいて,表記の著作物の使用権を独占し排他的に出版するものとする。故に権利者はこの契約の存続する限り同一又は明らかに類似と認められる他の著作物を使用者の許諾なくしては自らまたは他人をして他に転載もしくは出版することができないものとする。」との条項(約款2条),「権利者は著作物がこの契約の成立以後最初に公刊せられた年(第一公刊年)の翌年から起算して三カ年を経過したときは,この契約の存続期間中であってもこれを全集その他の編集物に集録し,又は全集その他の編集物の一部を分離して別途にこれを出版することができる。」,「前項の規定にかかわらず著作者が死亡した場合には,権利者は契約した著作物を全集その他の編集物に集録して別途に出版することができる。」との条項(約款10条),「(自動延長条項)この契約は当事者いずれか一方より廃棄の通告がない限り,順次自動的に表記の契約期間ずつ延長せられるものとする。」との条項(約款18条)があること,B昭和49年契約書添付の添付一覧表(「版権所有出版物一覧表(49131現在)」)には,「印税率10%」との記載があるほか,「書名」欄及び「初版年月」欄に「生命の実相全巻(各種各判)」,「昭71」との記載があること,C被告日本教文社作成の原告社会事業団宛ての昭和4341日付け「印税支払に関する出版状況報告」と題する書面(以下「昭和43年報告書」という。)の本文には,「貴財団はA先生の著作物のうち一部その著作権をお持ちになっておられますが,長年にわたり重版を続けているものや一時出版を休止しているものもありますので,今後の印税のお支払を明確にする為に先生より譲渡を受けられた全著作物について只今までの出版状況を別紙の通り御報告申し上げます。」との記載があり,昭和43年報告書添付の「出版継続中(4341現在)」と題する別紙中には,「書名」欄に「生命の實相全巻(各種各判)」,その「初版年月日」欄に「昭711」,その「印税支払開始」欄に「昭2011設立時より」との記載があることが認められる。
 上記@ないしBの認定事実によれば,原告社会事業団と被告日本教文社は,昭和49131日,昭和49年契約書をもって,原告社会事業団が被告日本教文社に対し原告社会事業団が著作権を有する添付一覧表に掲記された著作物を出版するための独占的排他的使用権を設定し,原告社会事業団が被告日本教文社に対し出版時に定価の10%を印税として支払う旨の契約を締結したことが認められる
 そして,上記B及びCの認定事実と前記の認定事実を総合すれば,昭和49年契約書の添付一覧表中に掲記された「生命の実相全巻(各種各判)」,初版年月日「昭71」は,昭和711日以降に出版された「生命の實相」と題する書籍の各種各判に係る著作物であって,昭和49131日現在において原告社会事業団が著作権を有していたものを意味するものと解されるから,本件@の書籍1の復刻の元となった「生命の實相<革表紙版>」(全1巻)(初版発行昭和711日),本件@の書籍2の復刻の元となった「久遠の實在」(副題「生命の實相第2巻」)(初版発行昭和81225日)はこれに含まれるものと認められる
 したがって,原告社会事業団の主張するとおり,原告社会事業団と被告日本教文社は本件昭和49年契約を締結したものと認められる。
 しかるに,被告日本教文社は,別紙1の「版数」欄,「出版日」欄及び「製本部数」欄記載のとおり,昭和5751日から平成2051日までの間,本件@の書籍1の初版ないし19版を出版し,別紙2の「版数」欄,「出版日」欄及び「製本部数」欄記載のとおり,昭和5931日から同年525日までの間,本件@の書籍2の初版ないし3版を発行したのであるから,被告日本教文社は,本件昭和49年契約に基づいて,原告社会事業団に対し,別紙1及び2の「印税額」欄記載の印税の支払義務を負ったものと認められる。
イ これに対し被告日本教文社は,被告日本教文社による本件@の各書籍の出版は,いずれもその著作権者である亡Aとの口頭あるいは黙示の合意により成立した出版契約に基づくものであって,原告社会事業団主張の本件昭和49年契約に基づくものではない,昭和49年契約書の添付一覧表は,同契約書作成当時,被告日本教文社から原告社会事業団に印税が支払われていた著作物を対象として作成されたものであって,過去に出版された書籍は対象となっていないから,本件@の各書籍の復刻の元となった著作物は含まれないなどと主張する。
 しかし,被告日本教文社の主張は,理由がない。
 すなわち,前記認定のとおり,本件@の各書籍の著作権は,原告社会事業団の設立により,亡Aから原告社会事業団へ移転されたものであって,本件@の各書籍の各初版が出版された当時,亡Aは著作権者でなかったというべきであるから,被告日本教文社主張の亡Aとの口頭あるいは黙示の合意により成立した出版契約は,その前提を欠くものである。
 
また,前記認定のとおり,昭和49年契約書の添付一覧表中に掲記された「生命の実相全巻(各種各判)」,初版年月日「昭71」は,昭和711日以降に出版された「生命の實相」と題する書籍の各種各判に係る著作物であって,昭和49131日現在において原告社会事業団が著作権を有していたものを意味するものと解されるから,本件@の各書籍の復刻の元となった著作物は含まれないとの被告日本教文社の主張は,採用することができない。











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