著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著名人の肖像権侵害を否定した事例
「週刊誌記事『目撃ッ!“W不倫”スクープ』事件」平成150424日東京地方裁判所(平成14()18096 

【コメント】本件は、原告が、被告の発行した週刊誌に掲載された記事により名誉を毀損され、かつ、肖像権を侵害されたとして、被告に対し、民法709条、710条に基づき、損害賠償金等の支払を求めるとともに、民法723条に基づき、名誉回復処分として謝罪広告の掲載を求めた事案です。 

 肖像権侵害の有無
(1) 何人も人格権の1つとして承諾なしにみだりにその容貌や姿態を撮影されたり,撮影された写真を公表されない権利を有しており,このような意味での肖像権は,個人の人格に密接に関連する私生活上の自由権に属するから,これを侵害した場合には原則として不法行為が成立するというべきである。そして,対象とされる人の承諾なく,その私生活の場面において容貌や姿態を撮影したり,これを広く社会に公表することは,原則として肖像権侵害に当たるものと解される
 ところが,肖像写真の公表が,それ自体において又は文章表現と相まって,言論,出版その他の表現の自由の行使として行われることもあり,このような場合においては,民主主義社会において重要な人権の1つである表現の自由との均衡上,当該表現行為が公共の利害に関する事項に係り,公益を図る目的をもってなされ,これにより公表された内容がその表現目的に照らして相当であるという要件を満たすときは違法性が阻却されると解すべきである。
(2) ところで,前判示のとおり,被告は,本件記事に原告の結婚式での上半身の写真を,本件表紙及び本件各広告に原告の顔写真をそれぞれ掲載しているところ(以下,これらの写真を総称して「本件各写真」という。),原告が被告に対し,本件各写真を本件記事等に掲載することについて,いずれも個別の承諾をしていないことについては,当事者間に争いがない。もっとも,弁論の全趣旨によれば,本件各写真は,原告の結婚式において被告の記者が報道目的で撮影したものであり,その際の撮影及び写真の公表については,原告も承諾しているものと認められる。
(3) そこで,これらの事実を前提に肖像権侵害の有無について検討するに,結婚式における容姿の撮影は,人の私生活の場面において生じた事柄であるから,その公表についても対象者の承諾を要すると解すべきところ,原告は,本件記事等に掲載することを承諾していないことは前判示のとおりである。この点に関し,被告は,原告が肖像権を放棄したかのごとく主張するけれども,人が私生活上の一場面での撮影及び公表を承諾したからといって,これに係る肖像権を放棄し,いかなる公表のされ方をしようともすべて承諾したことにならないことはいうまでもない。そして,人が自らの写真を雑誌等に掲載することを承諾するか否かを判断する上で,その目的,態様,時期等を含む公表の具体的諸条件は,重要な要素であり,これと著しく異なる用い方をされた場合には,承諾の範囲を超え,改めて被撮影者の承諾を得ることを要する場合もあると考えられる。本件各写真は,前判示のとおり結婚式における容姿を撮影したものであるから,これが原告の人となりを報道する際に広く使用されるであろうことは容易に予想し得るところであるが,不倫な行為があったことを摘示する本件記事等に用いられることは原告の予想外のことであると推認され,これについてまで公表の承諾の範囲内にあるとするのは困難である。
 しかしながら,本件各写真が読者に対して本件記事等の対象とされている原告の人物像を視覚的に説明するために用いられていることは,その掲載方法に照らして明らかであり,この点について,被告に特別の意図があると窺うことはできない。
 そうすると,本件記事等に関し公共の利害に関する事実に係ること及び公益を図る目的があることが認められる以上,本件各写真についても同様のことが肯認されるべきである。そして,一定の社会的活動を行っている原告についてその資質等を評価するための資料を提供するという面を有する本件記事等において,原告の人物像を伝えるためにその容姿を掲載する程度のことは,前示報道目的に照らして相当ということができる
(4) 以上によれば,本件各写真の掲載が原告の肖像権を違法に侵害するものとして不法行為を構成するということはできない。











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