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著作財産権侵害に基づく慰謝料請求の可否(10)
楽曲『羅針盤』無断演奏事件平成231128日知的財産高等裁判所(平成23()10044 

 2 事案の概要
 本件は,被控訴人が作詩・作曲した楽曲「羅針盤」(本件楽曲)を,控訴人が,平成21317日に被控訴人に無断で東京東高円寺のライブハウスで開催されたコンサートにおいて演奏歌唱したことを理由に,被控訴人(一審原告)が控訴人(一審被告)に対し,不法行為による損害賠償金130万円と遅延損害金の支払を求めた事案である。
 原判決は,上記請求を損害賠償金3万円と遅延損害金の支払を命じる限度で認容し,その余を棄却したので,これに不服の控訴人(一審被告)が本件控訴を提起したものである。
 (略)
4 当裁判所の判断
 当裁判所も,被控訴人の本訴請求につき,金3万円と遅延損害金の支払いを命じた原判決が高きに失するということはできないと判断する。その理由は,以下に付加するほか,原判決記載のとおりであるからこれを引用する。
1 原判決が著作権侵害につき慰謝料を認めたことについて
(1) …によれば,被控訴人は,控訴人が平成21317日の本件コンサートにおいて本件楽曲を無断で歌唱したことを知り,謝罪を求めたところ,これに応ずる気配がなかったため,同年48日,件名を「楽曲使用料請求書」とするEメールを送付し,合計63000円の(日本赤十字社への寄付という形での)支払を請求したところ,控訴人が,同年51日,「楽曲使用料の支払に不服はないが,条件に不明な点があるので,改めて連絡する」旨のEメールを送付してきた。しかし,控訴人からその後の返事がなく,謝罪もないため,平成22104日に厚木簡易裁判所あてに本件訴訟を提起したこと(その後,本件訴訟は横浜地裁小田原支部に移送された。),被控訴人は,著作権侵害に加え,控訴人による上記の事後的対応等を含め,本件での一連の事実経過をとらえて不法行為であると主張し,その損害賠償請求をしたことが認められる。
(2) 以上によれば,控訴人がいったんは著作権侵害として63000円の使用料を支払うことを約した本件において,著作権侵害を含む一切の不法行為につき損害賠償金の支払を命じることに問題はない
 なお,控訴人は,本件において「特段の事情」がないことを縷々主張するが,前記のとおり,被控訴人は,著作権侵害のみではなく控訴人の事後的対応等を含めた一連の事実経過をとらえて不法行為であると主張しその損害賠償請求をしているものであるから,「特段の事情」の有無によって本件の結論が影響を受けるものではない
2 損害額について
 控訴人は,本件において,JASRACの楽曲使用料に基づいて本件楽曲の著作権使用料を計算すれば336円となる旨主張する。
 しかし,前記1で検討したとおり,本件において被控訴人は,著作権侵害を含む一切の不法行為として損害賠償を請求しているものと認められるところ,控訴人がいったんは63000円の支払に半ば同意したかのような前記事情も考慮すると,損害賠償金として3万円の支払を命じることが高きに失するということはできない。
3 結論
 以上によれば,損害賠償金3万円とこれに対する訴状送達の日の翌日である平成22106日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を命じた原判決が不当とすることはできない。
 
よって,本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。











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