著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作物の特定性
「発明の名称『データ入力装置』事件」平成231208日知的財産高等裁判所(平成23()10049/平成230712日東京地方裁判所(平成20()33440 

【コメント】本件は、発明の名称を「データ入力装置」とする特許(「本件特許」)の特許権者である原告が、被告が「被告各ソフト」をインストールしたサーバを製造、販売する行為が、本件特許権についての特許法1012号所定の間接侵害に当たり、又は原告が著作権を有するプログラムの著作物の著作権(複製権)侵害に該当する旨主張して、被告に対し、特許権侵害又は著作権侵害の不法行為による損害賠償などを求めた事案です。 

【原審】

 争点2(プログラムの著作物の著作権(複製権)侵害の有無)
(1) 原告は,@本件プログラムはコンピュータを機能させて,一定の結果を得ることができるようにして表現したものであり,本件プログラムの構成中の別紙プログラム目録記載のCないしGの構成部分に創作性を有するから,本件プログラムは著作物に当たる,A被告が本件プログラムを複製した被告各ソフトを製造する行為は,原告の保有する本件プログラムの著作権(複製権)の侵害行為に該当する旨主張する。
 しかし,原告が著作物であると主張する本件プログラムは,本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の「データ入力装置」の文言を「プログラム」又は「コンピュータのネットワークにおけるコンピュータ装置のためのプログラム」の文言に置き換えて特定したものにすぎず,原告は,本件プログラムの具体的な内容及びその表現上の具体的な創作性を主張立証していない(なお,原告は,原告が作成したとする本件プログラム又はその複製物が存在すること自体の立証をしていない。)。
 したがって,本件プログラムが著作物に当たるものと認めることも,被告が本件プログラムを複製した被告各ソフトを製造したものと認めることもできないから,原告の上記主張は理由がない。
(2) したがって,その余の点について検討するまでもなく,本件プログラムの著作物の著作権侵害を理由とする原告の損害賠償請求は,理由がない。

【控訴審】

 争点2(プログラムの著作物の著作権(複製権)侵害の有無)について
1 本件プログラムについて
ア 控訴人は,控訴人が作成したとする本件プログラム又はその複製物が存在すること,本件プログラムの具体的な表現及びその表現上の具体的な創作性について,何らの立証をしていない。
イ 控訴人は,本件プログラムの内容は,本件発明の特許公報に明示されていると主張する。
 しかしながら,著作権法にいう「プログラム」とは,電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものであり(同法2110号の2),同じく「著作物」とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう(同項1号)。したがって,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう発明(特許法21項)について,発明を特定するために必要と認める事項の全てが記載された特許請求の範囲や,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載した発明の詳細な説明(同法364項,5項)に記載されたものがあるからといって,直ちに,思想又は感情を創作的に表現したプログラムの著作物が存在することにはならない
ウ また,控訴人は,本件発明の新規性が認められる以上,本件プログラムの創作性も当然認められると主張する。
 
しかしながら,原判決別紙プログラム目録記載の内容は,プログラムの具体的な「表現」を表すものではなく,また,特許法と著作権法の目的や保護対象が異なることに照らして,控訴人の上記主張を採用することはできない。仮に,控訴人の主張する構成要件G(逆展開無限階層で得る一連コードや多数の属性データをキーにする,各種情報の統合データベースの運用システム)が画期的なものであるとしても,直ちにプログラムの著作物の「表現上の創作性」が肯定されるわけではない











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