著作権重要判例要旨[トップに戻る]







折り紙の「折り図」の侵害性が問題となった事例
「‘吹きゴマ折り図事件平成230520日東京地方裁判所(平成22()18968/平成231226日知的財産高等裁判所(平成23()10038 

【コメント】本件は、折り紙作家である原告が、テレビドラマの番組ホームページに「吹きゴマ」の折り図(説明文を含む。以下「被告折り図」という。)を掲載した被告に対し、主位的に、被告折り図は、「1枚のかみでおる おりがみ おって遊ぶ-アクションおりがみ-」と題する書籍(「原告書籍」)に掲載された「へんしんふきごま」の折り図(説明文を含む。以下「本件折り図」という。)を複製又は翻案したものであり、被告による被告折り図の作成及び番組ホームページへの掲載行為は原告の著作物である本件折り図についての著作権(複製権ないし翻案権、公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)の侵害に当たる旨主張し、著作権侵害及び著作権人格権侵害の不法行為による損害賠償金の支払などを求めた事案です。 

【原審】

 複製ないし翻案の成否
 複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により著作物を有形的に再製することをいい(著作権法2115号参照),著作物の再製は,当該著作物に依拠して,その表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成することを意味するものと解され,また,著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される(最高裁平成13628日第一小法廷判決参照)。
 以上を前提とすると,被告折り図が本件折り図の複製又は翻案に当たるか否かを判断するに当たっては,被告折り図において,本件折り図の表現上の本質的特徴を直接感得することができるかどうかを検討する必要がある。
ア 被告折り図の内容
 (略)
イ 被告折り図と本件折り図の対比
()被告折り図と本件折り図は,別紙のとおり,①32の折り工程からなる「へんしんふきごま」(吹きゴマ)の折り方について,10個の図面(説明図)及び完成形を示した図面(説明図)によって説明している点,②各説明図でまとめて選択した折り工程の内容,③各説明図は,紙の上下左右の向きを一定方向に固定し,折り筋を付ける箇所を点線で,付けられた折り筋を実線で,折り筋を付ける手順を矢印で示している点等において共通している。
()しかし,他方で,本件折り図は,別紙のとおり,折り筋を付ける手順を示す矢印,折り筋を付ける箇所及び向きを示す点線(谷折り線・山折り線),付けられた折り筋を示す実線,折った際に紙が重なる部分を予測させるための仮想線を示す点線によって折り方を示すことを基本とし,これらの折り工程のうち矢印,点線等のみでは読み手が分かりにくいと考えた箇所について説明文及び写真を用いて折り方を補充して説明する表現方法を採っているのに対し,被告折り図は,別紙のとおり,折り工程の順番を丸付き数字で示した上で,折り工程の大部分について説明文を付したものであって,説明文の位置付けは補充的な説明にとどまるものではなく,読み手がこれらの説明文と説明図に示された点線,実線及び矢印等から折り方を理解することができるような表現方法を採っている点で相違している。
 このような相違点に加えて,本件折り図では,写真を用いた説明箇所があるのに対し,被告折り図では,写真を用いていない点,本件折り図では,紙の表と裏を色分け(赤色と無色)しているのに対し,被告折り図では,色分けをしていない点,本件折り図における「くふう工夫のヒント」の記載内容と被告折り図における「完成!」の記載内容が全く異なる点,被告折り図の7番目の説明図における折り筋(折り目)を示した点線の位置が,本件折り図の手順7の説明図に示された正しい位置と異なるため,被告折り図に従って折り進めても,完成形に至ることはできない点において相違する。
()以上のとおり,被告折り図と本件折り図は,前記()の相違点が存在することから,折り図としての見やすさの印象が大きく異なり,分かりやすさの程度においても差異があるものであって,前記()の共通点を最大限勘案してもなお,被告折り図から,「へんしんふきごま」の一連の折り工程(折り方)を見やすく,分かりやすく表現した本件折り図の表現上の本質的特徴を直接感得することができるものとは認められない
 したがって,被告折り図は,本件折り図の複製物又は翻案物のいずれにも当たらないというべきである。

【控訴審】

 著作権侵害の有無について
 被告折り図と本件折り図とを対比すると,①32の折り工程からなる「へんしんふきごま」(吹きゴマ)の折り方について,10個の図面(説明図)及び完成形を示した図面(説明図)によって説明している点,②各説明図でまとめて選択した折り工程の内容,③各説明図は,紙の上下左右の向きを一定方向に固定し,折り筋を付ける箇所を点線で,付けられた折り筋を実線で,折り筋を付ける手順を矢印で示している点等において共通する。
 しかし,他方で,本件折り図は,折り筋を付ける手順を示す矢印,折り筋を付ける箇所及び向きを示す点線(谷折り線・山折り線),付けられた折り筋を示す実線,折った際に紙が重なる部分を予測させるための仮想線を示す点線によって折り方を示すことを基本とし,これらの折り工程のうち矢印,点線等のみでは読み手が分かりにくいと考えた箇所について説明文及び写真を用いて折り方を補充して説明する表現方法を採っているのに対し,被告折り図は,折り工程の順番を丸付き数字で示した上で,折り工程の大部分について説明文を付したものであって,説明文の位置付けは補充的な説明にとどまるものではなく,読み手がこれらの説明文と説明図に示された点線,実線及び矢印等から折り方を理解することができるような表現方法を採っている点において相違する。
 このような相違点に加えて,本件折り図では,写真を用いた説明箇所があるのに対し,被告折り図では,写真を用いていない点,本件折り図では,紙の表と裏を色分け(赤色と無色)しているのに対し,被告折り図では,色分けをしていない点,本件折り図における「工夫のヒント」の記載内容と被告折り図における「完成!」の記載内容が異なる点などにおいて相違する。
 以上のとおり,被告折り図と本件折り図とは,上記のとおりの相違点が存在し,折り図としての見やすさの印象が大きく異なり,分かりやすさの程度においても差異があることから,被告折り図は本件折り図の有形的な再製には当たらず,また,被告折り図から本件折り図の表現上の本質的特徴が直接感得できるともいえない
 
以上のとおり,被告が被告折り図を作成する行為は,本件折り図について有する原告の複製権ないし翻案権を侵害しない。











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