著作権重要判例要旨[トップに戻る]







プログラムの著作物の侵害性が問題となった事例(10)
測量業務用ソフトウェア『おまかせ君プロ』vs.『位置郎』事件平成230526日東京地方裁判所(平成19()24698/平成240131知的財産高等裁判所(平成23()10041 

【原審】

 被告プログラムは,原告プログラムを複製又は翻案したものかについて
(1) …によれば,被告プログラムの構成及び同構成と原告プログラムの構成との関係は,次のとおりであると認められる。
ア 被告プログラムは,両プログラム対比表記載のとおり,合計38個のファイル(被告ファイル138)から構成されている。
 これら38個のファイルのうち,被告ファイル37及び38を除く合計36個のファイルは,両プログラム対比表記載のとおり,原告プログラムにおいて実際に使用されている35個のファイル(原告ファイル1333839)と,ほぼ11で対応している。
上記35個の原告ファイルとそれに対応する上記36個の被告ファイルとを比較すると,(証拠)中の黄色のマーカーが塗られた部分(黄色マーカー部分)は,ソースコードの記載が全く同一である。また,上記各号証中の緑色のマーカーが塗られた部分(緑色マーカー部分)は,会社名の置換え,変数名,フォーム名等に違いはあるものの,プログラムとして機能する上で,その名称の違いに意味のないものであり,実質的には同一のソースコードであるといえる。
 これらの黄色マーカー部分及び緑色マーカー部分は,上記原告ファイル及び被告ファイルの大半を占めており,その割合は,全体の90%を下らない
(2) 上記事実関係によれば,原告プログラムと被告プログラムとは,そのソースコードの記述内容の大部分を共通にするものであり,両者の間には,プログラムとしての表現において,実質的な同一性ないし類似性が認められるものといえる。
 また,上記のとおり被告プログラムはその記述内容の大部分が原告プログラムと同一ないし実質的に同一であることに加え,被告ソフトの開発者である被告Bは,原告において原告ソフトの開発に従事していたものであり,後記のとおり,原告を退職した後,ごく短期間で膨大なソースコードより成る被告プログラムを開発していることなどに鑑みると,被告Bは,原告プログラムの内容を認識した上で,これに依拠して被告プログラムを作成したものであると認められる。
 したがって,被告プログラムは,原告プログラムを複製又は翻案したものであると認められる。
(3) これに対し,被告らは,両プログラム対比表記載の各ファイル内におけるブロックの記載順序及び各ブロック中の記述の順序が異なることや,被告プログラムには原告プログラムにないコメントが多数存在することなどを挙げ,被告プログラムは原告プログラムと表現を異にするものであり,原告プログラムを複製ないし翻案したものには当たらないと主張する。
 
しかしながら,プログラムのソースコードの記述は,電子計算機が必要な機能を呼び出すためのものであり,本件における原告プログラム及び被告プログラムのソースコードについては,その記述の順序が異なることは電子計算機によるプログラムの呼出し処理に影響を与えるものではない。また,ソースコード内のコメントは,プログラムの動作に影響を与えるものではない。そうすると,被告らの主張するような事情をプログラムのソースコードの実質的同一性の判断に当たって考慮すること自体は否定されないとしても,これを重視するべきではなく,本件のように両プログラムの記述内容の大部分が同一ないし実質的に同一であるというべき事案においては,両プログラムの同一性ないし実質的同一性を認めるのが相当である。

【控訴審】

 原判決…の「プログラムとして機能する上で,その名称の違いに意味のないものであり,」を「ソースコードの記述において,変数名,フォーム名等にどのような名称を付するかは,プログラムとして機能する上で,それほど意味を持たないものであることからすると,」と訂正する。
 原判決…を以下のとおり訂正する。
 (2) 上記事実関係によれば,被告プログラムのうち36個のファイルが原告プログラムの35個のファイルとほぼ11で対応し,かつ,被告プログラムの上記36個のファイルにおけるソースコードが原告プログラムの35個のファイルにおけるソースコードと,記述内容の大部分において同一又は実質的に同一である。このように,測量業務に必要な機能を抽出・分類し,これをファイル形式に区分して,関連付け,使用する関数を選択し,各ファイルにおいてサブルーチン化する処理機能を選択し,共通処理のためのソースコードを作成し,また,各ファイルにおいてデータベースに構造化して格納するデータを選択するなど,原告プログラムのうち作成者の個性が現れている多くの部分において,被告プログラムのソースコードは原告プログラムのソースコードと同一又は実質的に同一であり,被告プログラムは原告プログラムとその表現が同一ないし実質的に同一であるか,又は表現の本質的な特徴を直接感得できるものといえる。」
 原判決…に,行を改めて次のとおり加える。
 
「また,被告らは,原告が,原告プログラムのソースコードと被告プログラムのソースコードに実質的な同一性があるなどと主張する部分は,そのほとんどが作成ソフト等による制約上,他の記載方法がない部分であり,複製又は翻案には該当しないと主張する。しかし,被告らの主張は,以下のとおり失当である。すなわち,被告プログラムのソースコードと原告プログラムのソースコードとを対比して,被告プログラムが原告プログラムと同一ないし実質的に同一である,又は表現の本質的な特徴を直接感得できる部分は,被告プログラムのソースコードを細分化した上で,作成ソフト等による制約上,記載方法の選択の余地のない部分のみに存在するのではなく,被告プログラムのソースコード中の,作成者において,記載方法における選択の余地があり,その個性を表現することが可能な部分においても存在するから,被告らの主張は理由がない。」











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