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会社と会社代表者個人の共同不法行為責任を認定した事例(6)
測量業務用ソフトウェア『おまかせ君プロ』vs.『位置郎』事件平成230526日東京地方裁判所(平成19()24698 

【コメント】本件は、「おまかせ君プロVer.2.5」という名称の測量業務用のソフトウェア(「原告ソフト」)を製造し、これを使用して測量業務等を行っている原告が、「位置郎」という名称の測量業務用のソフトウェア(「被告ソフト」)を製造し、これを使用して測量業務等を行っている被告YKSC社、同社の関連会社である被告ワイケイズ社、被告YKSC社の代表取締役である被告A、及び原告の元従業員で被告YKSC社の従業員である被告Bに対し、被告ソフトに係るプログラム(「被告プログラム」)は、原告ソフトに係るプログラム(「原告プログラム」)の著作物を複製又は翻案したものであるから、共同して被告ソフトを製造し、これを複製、使用、譲渡する被告らの行為は原告の原告プログラムについての著作権(複製権又は翻案権)を侵害する旨主張し、被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対し、著作権法1121項に基づく被告プログラムの製造等の差止め及び同条2項に基づく被告プログラムの複製物等の廃棄を求めるとともに、被告らに対し、著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償金等を連帯して支払うよう求めた事案です。 

 被告らの共同不法行為の成否について
(1) 認定事実
 …によれば,被告プログラムが開発されるまでの経過について,次の事実が認められる。
ア 被告ワイケイズ社は,平成13年から平成16年ころまでの間,原告から,原告のソフトウェアをインストールした機器の貸与を受けるなど,原告との間に取引関係を有していた。
イ 被告ワイケイズ社及び平成16年当時の同社の代表取締役であった被告Aは,同年秋ころ,当時,原告におけるソフトウェアの開発担当者であり,ソフトウェアの使用方法等の相談窓口の担当者でもあった被告Bを通して,原告に対し,九州地区において原告のフランチャイズに加盟したい旨を申し出た。
 被告ワイケイズ社は,上記交渉の過程で,原告に対し,原告に対して支払うロイヤリティーの減額や原告のソフトウェアの買取りを求めるなどしたが,原告は,これらの申出に応じず,上記交渉は,平成174月以後,途絶した。
ウ 被告Bは,平成17531日付けで原告を退職し,そのころ,被告Aを通して被告ワイケイズ社の依頼を受け,測量業務用のソフトウェアの開発に着手し,遅くとも同年末ころには,被告ソフトを完成し,これを被告ワイケイズ社に提出した。なお,被告ワイケイズ社は,同年71日,測量解析部を発足させた。
エ 被告YKSC社は,平成18324日,被告Aを代表取締役とする有限会社として,被告ワイケイズ社から分社化される形で設立された,同社の関連会社である。被告YKSC社は,その設立当初から,同社において被告ソフトを製造し,同ソフトを使用した測量業務や,同ソフトのリース業務等を行った。
(2) 被告らの共同不法行為の成否
 上記事実関係によれば,被告ワイケイズ社及び同社の代表取締役であった被告Aが,被告Bに依頼して,原告プログラムに依拠して,これと同一ないし実質的に同一である被告プログラムを制作させたこと,被告YKSC社及び同社の代表取締役である被告Aは,被告Bから提供を受けた被告プログラムを基に被告ソフトを製造し,これを使用して測量業務等を行っていることが認められ,被告らは,これらの行為により,原告プログラムに係る原告の著作権(複製権ないし翻案権)を侵害したものと認められる。また,被告Aが行った上記著作権侵害行為は,被告YKSC社及び被告ワイケイズ社の代表者としての行為であるとともに,被告A個人としての行為でもあると評価することができる
 
したがって,原告に対する不法行為について,被告ワイケイズ社,被告YKSC社,被告B及び被告Aは,共同不法行為責任を負うというべきである。











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