著作権重要判例要旨[トップに戻る]







差止の射程範囲(12)
測量業務用ソフトウェア『おまかせ君プロ』vs.『位置郎』事件平成230526日東京地方裁判所(平成19()24698 

【コメント】本件は、「おまかせ君プロVer.2.5」という名称の測量業務用のソフトウェア(「原告ソフト」)を製造し、これを使用して測量業務等を行っている原告が、「位置郎」という名称の測量業務用のソフトウェア(「被告ソフト」)を製造し、これを使用して測量業務等を行っている被告YKSC社、同社の関連会社である被告ワイケイズ社、被告YKSC社の代表取締役である被告A、及び原告の元従業員で被告YKSC社の従業員である被告Bに対し、被告ソフトに係るプログラム(「被告プログラム」)は、原告ソフトに係るプログラム(「原告プログラム」)の著作物を複製又は翻案したものであるから、共同して被告ソフトを製造し、これを複製、使用、譲渡する被告らの行為は原告の原告プログラムについての著作権(複製権又は翻案権)を侵害する旨主張し、被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対し、著作権法1121項に基づく被告プログラムの製造等の差止め及び同条2項に基づく被告プログラムの複製物等の廃棄を求めるなどした事案です。 

 差止請求等の可否
 以上を前提に,原告の被告らに対する各差止請求及び廃棄請求の可否について検討する。
ア 差止請求について
 上記のとおり,被告YKSC社は,被告ソフトを製造し,これを使用しており,これらの行為は,原告プログラムに係る原告の著作権を侵害するものであると認められる。
 また,被告YKSC社は,原告から平成19年に本件訴えが提起された後も,少なくとも,平成229月ころまでの間は,被告ソフトの製造,使用を継続し,本件訴訟においても,原告ソフトは創作性がないなどと主張して,著作権侵害の有無を争っていることが認められる。
 そうすると,被告らにおいて,被告YKSC社は本件訴訟と並行して被告ソフトの新製品の開発を行ってきた結果,平成229月中には被告ソフトから上記新製品への切替えを終えており,新製品は原告ソフトに係る原告の著作権を侵害するものではないと主張していること,などの事情を考慮したとしても,被告YKSC社において,今後も,被告ソフトを製造,使用するおそれがあると認められる。また,本件証拠上,被告YKSC社において被告ソフトを譲渡した事実や,被告ワイケイズ社において被告ソフトを製造,使用又は譲渡した事実を認めるに足りる証拠はないものの,上記認定の被告ソフトの開発経緯や,被告ワイケイズ社と被告YKSC社との関係等を考慮すると,被告YKSC社において被告ソフトを譲渡するおそれや,被告ワイケイズ社において被告ソフトを製造,使用又は譲渡するおそれがあるものと認められる
 したがって,原告は,被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対し,著作権法1121項に基づき,被告プログラムの製造,使用又は譲渡の差止めを求めることができる。
イ 廃棄請求について
 被告YKSC社が被告プログラムの複製物を何らかの記録媒体に収納して,これを現に保有していることについては,当事者間に争いがなく,前記のとおり被告プログラムが原告プログラムの複製物又は翻案物と認められることからすると,上記複製物ないし記録媒体は,原告の原告プログラムに係る複製権又は翻案権の侵害行為によって作成された物といえる。したがって,原告は,被告YKSC社に対し,著作権法1122項に基づき,被告プログラムを収納した記憶媒体の廃棄を求めることができる。
 
他方,本件証拠を精査しても,被告ワイケイズ社において被告プログラムの複製物ないし同プログラムを格納した記録媒体を保有していることを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告ワイケイズ社に対して被告プログラムの廃棄を求める原告の主張は理由がない。











相談してみる

ホームに戻る