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著作権と取得時効(3)
「『生命の實相』復刻版事件」平成240131日知的財産高等裁判所(平成23()10028等) 

 本件①の各書籍の著作権の時効取得の成否について(控訴人らの主張)
 控訴人らは,被控訴人社会事業団に属していたとしても,亡Bの相続人において,平成7年末ないし本件確認書の日より10年経過した平成10322日をもって,本件①の各書籍の著作権を時効取得した旨主張する。
 控訴人らの上記主張は,各事件における結論を導く上で,どのような要件に関連する主張であるのかは,必ずしも,明確でない。すなわち,取得時効に係る控訴人らの主張が,第1事件(被控訴人社会事業団の控訴人日本教文社に対する,本件①の各書籍に係る契約に基づく金銭支払請求等)に関係した主張であれば,同事件において控訴の対象とされているのは,そもそも契約に基づく金銭支払請求についてである点で,また,第2事件(控訴人生長の家及び控訴人Xの被控訴人らに対する,本件②の各書籍に係る著作者人格権に基づく請求)に関係した主張であれば,同事件には,本件②の各書籍に関する請求及び著作者人格権に基づく請求が含まれている点で,さらに,第3事件(控訴人日本教文社の被控訴人光明思想社に対する,本件③の各書籍に係る出版権確認請求)に関係した主張であれば,同事件の対象は,専ら本件③の各書籍であるとの点で,いずれも,結論を導く上で,どのような攻撃,防御方法に係る主張であるのかは,必ずしも判然としない。
 その点はさておき,亡Bの相続人らの①の書籍に係る著作権の時効取得が成立したとする控訴人らの主張は,以下のとおり失当と判断する。
 著作権の時効取得が観念されると解した場合,著作権の時効取得が認められるためには,自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に著作権(例えば,複製権)を行使する状態を継続していたことを要する。換言すれば,著作権の時効取得が認められるためには,著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利などを専有する状態,すなわち外形的に著作権者と同様に複製権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを要するのであって,そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成9717日判決参照)。
 この観点から,本件をみると,平成20512日に,亡B(昭和60617日に死亡)の共同相続人である亡Aが25万円を,同月14日に,控訴人Xが25万円を,本件①の書籍119版)の印税として,控訴人日本教文社から支払を受けたこと,本件①の書籍1の平成1251日出版に係る18版及び平成2051日出版に係る19版の各奥付に,「検印省略」,「,,1932」との記載がされていること等の事実が認められる。他方,本件確認書末尾の「著作物の表示」に「生命の實相(頭注版全四十巻)」及び「生命の實相(愛蔵版全二十巻)」の記載はあるにもかかわらず,本件①の各書籍は記載されていないこと,亡E,亡A及び控訴人Xが,昭和601213日付けで亡Bの遺産について作成した遺産分割協議書の第3遺産目録(著作権)には,「64復刻版 実相」,「71 久遠の實在」との記載があること,本件①の書籍1の他の版及び本件①の書籍2には「」表示がないこと等の事実を認めることができる。
 上記認定事実によれば,亡Bの相続人が,控訴人日本教文社から印税を受け取ったり,控訴人日本教文社に対し本件①の書籍118版及び19版の奥付に誤った「」表示をさせたりした経緯を認定することはできるが,そのような経緯によっては,複製権等を独占的,排他的に行使する状態を継続している事実,及び他の者に対する著作権の行使を排除した事実を主張,立証したと認めることはできない
 
そうすると,亡Bの相続人が,本件①の各書籍の著作権を時効取得したと認めることはできない。その他本件全証拠によるも,外形的に著作権者と同様に複製権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを認めることはできない。











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