著作権重要判例要旨[トップに戻る]







114条の5を適用した事例(3)
「ビデオデッキレンタルシステム『ロクラクU』事件-差戻審-平成240131日知的財産高等裁判所(平成23()10011等) 

 原告らの損害の有無及びその金額について
(1) 上記のとおり,本件対象サービスを提供して,本件放送番組等の複製行為を行う被告の行為は,原告NHK,原告東京局各社及び脱退原告らの複製権(著作権法21条),並びに原告ら及び脱退原告らの著作隣接権としての複製権(著作権法98条)を侵害するものであり,同行為は,少なくとも過失により行われたものといえる。
 そして,上記侵害行為により原告ら及び脱退原告らに生じた損害額は,以下のとおりと認められる。
(2) 逸失利益について
ア 著作権法1142項に基づく請求について
 原告らは,複製権(著作権法21条)又は著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害による損害について,著作権法1142項に基づき,被告が平成1741日から平成23630日までの間,利用者500人から,初期登録料3000円のほかに,1か月当たりレンタル料8500円及びアパート代2000円の合計10500円の支払を受けており,これに対する利益率が90パーセントであるとして,これを根拠として算定した金額が,原告らに生じた損害額であると主張する。
 しかし,本件全証拠によるも,本件対象サービスにおいて,親機ロクラクと子機ロクラクの双方がレンタルされているサービスと,親機ロクラクがレンタルされ子機ロクラクが販売されているサービスとの比率や,本件対象サービスに係る経費等は判然とせず,被告が本件対象サービスによって受けている利益額を算定することはできないから,原告らの著作権法1142項に基づく損害額の主張は採用することができない。
イ 著作権法1143項に基づく請求について
 原告らは,複製権(著作権法21条)又は著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害による損害額について,予備的に,著作権法1143項に基づき,被告が平成1741日から平成23630日まで,利用者500人から,初期登録料3000円のほかに,1か月当たりレンタル料8500円及びアパート代2000円の合計10500円の支払を受けており,コンテンツ配信サービスにおいて,配信事業者から著作権者等の権利者に対して支払われる金額は,当該権利者のコンテンツによって配信事業者が得た売上の70パーセントを下らないとして,これを根拠として算定した金額が,原告らに生じた損害額であると主張する。
 しかし,上記のとおり,本件全証拠によるも,本件対象サービスにおいて,親機ロクラクと子機ロクラクの双方がレンタルされているサービスと,親機ロクラクがレンタルされ子機ロクラクが販売されているサービスとの比率は,判然としない。
 また,原告NHK及び原告東京局各社が主張する,複製権(著作権法21条)の侵害による損害については,本件番組の複製の回数等について,主張立証がされていないから,著作権法1143項に基づき損害額の算定をすることはできない。さらに,原告らが主張する,著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害についても,親機ロクラクは,上記のとおり,子機ロクラクから指示を受けた場合に,放送に係る音又は影像をハードディスクに保存するものであり,常時,放送に係る音又は影像の複製をしているわけではなく,本件放送に係る音又は影像の複製の回数等についての主張立証はないから,著作権法1143項に基づき損害額の算定をすることはできない。
 したがって,原告らの著作権法1143項に基づく損害額の主張は採用することができない。
ウ 著作権法114条の5(相当な損害額の認定)に基づく請求について
 被告による本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為により,原告ら及び脱退原告らに複製権(著作権法21条)ないし著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害による損害が生じていることが認められるところ,上記ア及びイのとおり,本件放送番組等の複製の回数等の事実関係が立証されておらず,損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるから,著作権法114条の5により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,損害額を認定するのが相当である。
 
なお,被告は,本件対象サービスは,主に海外居住者に日本国内の放送を視聴する機会を確保するものにすぎず,日本国内においてタイムシフトによる視聴をする場合と異ならないから,原告らに財産的損害は発生しないと主張する。しかし,被告による本件放送番組等の複製を,個人的なタイムシフトによる視聴のための複製と同視することはできず,被告の上記主張は採用することができない。











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