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ツリー状組織図の著作物性
「『バイナリーオートシステム』図形事件」平成230610日東京地方裁判所(平成22()31663 

 原告図面の著作物性について
(1) 図Aについて
ア 図Aは,19個の円と18本の直線を組み合わせた組織図様の図形(以下「@部分」という。)と,この組織図様の図形の頂点にある円から下方向に伸びた1本の破線(以下「A部分」という。)と,組織図様の図形の略上半分を囲むように描かれた略三角形状の図形(以下「B部分」という。)から成る図形である。
 組織図様の図形(@部分)は,頂点に位置する1つの円を起点にして,円から2本の直線が左右に分かれて斜め下方向に伸びていき,その先でそれぞれ円と接することを繰り返しており,頂点の円を第1世代とすると,破線部分(A部分)を挟んで左側に第5世代まで,右側に第3世代までそれぞれツリー状の図形を形成している。
 破線部分(A部分)は,頂点の円から組織図様の図形である@部分を左右のグループに分けるように破線が真下に引かれている。
 略三角形状の図形(B部分)は,上記第1世代から同第3世代まで左右全体を囲むように形成されている。
イ (略)
 原告の上記主張によれば,図Aは本件システム及び本件ビジネスプランの内容を図示したものであり,@部分及びA部分は,「自分自身を示す頂点の円を起点にピラミッド状のグループ大小を左右に分けて形成することで,図全体で自分を起点に拡大していくグループ全体(大小合わせたグループ)」を,B部分は,「左右の大小のグループのうち小さい方のグループを大きい方のグループと対比できる形で,小さい方のグループの人数と一致する範囲を略三角形の図形で囲むことにより,小さい方のグループが報酬計算の算出基準となること」をそれぞれ図示しているものと認められる。しかし,著作権法上の保護を受ける著作物とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,アイデアや着想がそれ自体として著作権法の保護の対象となるものではない。そして,本件システム及び本件ビジネスプランや,その内容である「自分を起点にグループ全体が拡大していくこと」及び「小さい方のグループが報酬計算の算出基準となること」は,アイデアないし着想というべきであるから,それ自体は著作権法によって保護されるべき対象とはならない
 次に,図Aの図形としての著作物性について検討する。
 @部分のうち,複数の構成員から成る組織の構成を図式化するのに各構成員を円で表現し,構成員相互の結び付きを直線で図示している点は,ごくありふれた表現形式であって(原告図面の第一発行年月日である平成121010日より前に発行された株式会社サイエンス社昭和52105日発行の「アルゴリズムの設計と解析T」,株式会社近代科学社平成2925日発行の「アルゴリズムとデータ構造」にも同様の図が掲載されている。),それ自体何ら個性ある表現とはいえない。また,1人の構成員の下に必ず2人の構成員が割り振られる本件システムの内容を前提とする限り,その内容を図式化して表現しようとすれば,自ずと@部分のように1つの頂点を基に順次2本ずつ枝分かれしていく二分木(バイナリーツリー)のような表現形式を採らざるを得ないのであって,この点においても@部分は何ら個性ある表現とは認められない
 A部分は,「自分自身を示す頂点の円を起点にピラミッド状のグループ大小を左右に分けて形成」することを視覚的に表現するために,組織全体を左右2つのグループに分けるように頂点の円から真下に破線を引いたものであるが,これも通常用いられるごくありふれた表現形式である
 B部分は,@部分及びA部分の存在を前提に本件ビジネスプランの内容である「左右の大小のグループのうち…小さい方のグループが報酬計算の算出基準となる」ことを図式化して表現したものであるが,その内容を図式化して表現するために,大小2つのグループのうち世代が共通する部分を略三角形の形状をした図形で囲むことは,やはりありふれた表現形式であって,何ら個性ある表現とは認められない
ウ したがって,図Aに図形の著作物としての創作性を認めることはできない。











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